長崎県の医療現場関係者と、NTTデータ中国をはじめとする複数の技術サポート企業が共同で進める「医療DX実地検証プロジェクト」において、AI insideのデータ入力業務自動化AIエージェント「DX Suite」が採用された。11月18日、AI insideが発表した。
今回のプロジェクトは、超高齢化社会や医療人材不足といった地域医療の現場が抱える複数の課題に対応するため立ち上げられた。増加する現場の負担を軽減するため、地域医療・介護・行政・技術サポート企業が連携し、現場主導で実践的なDXモデルを検証する取り組みだ。AIやRPAを活用した業務自動化、現場課題に即した実務的な解決、そしてセキュリティ対策という三位一体のアプローチで、地域医療の持続可能な仕組みづくりを目指している。
実証では、地域中核病院の地域連携部門で、FAXで届く緊急性の高い紹介状や診療情報提供書の処理業務にDX Suiteが活用された。この病院では毎月300通以上の紹介状などがFAXで届き、職員がスキャナーで読み取り、電子カルテへ手入力する作業が日常的に発生していた。これにより、月間およそ50時間以上の業務負荷が発生していたことが確認されている。
この課題を解消するため、クリニックから送信されたFAXをクラウドFAXで受信し、DX Suiteでデジタルデータ化した上で、電子カルテへの自動登録と証跡保存を実現した。これにより、従来のスキャン・手入力作業が大幅に削減された。結果として、緊急性の高い入院依頼への対応スピード向上 や、病棟業務・看護師の残業負荷軽減につながる効果が確認された。
これらの実証は、既存のインフラを活かしながらAIを段階的に導入する現場主導の医療DXモデルとして高く評価されている。また、全国の医療機関にも応用可能な先進事例として有効性が示された。