プロバスケットボールクラブ「京都ハンナリーズ」を運営するスポーツコミュニケーションKYOTOは、フリーの販売管理システム「freee販売」を導入し、活用を始めた。11月18日、フリーが発表した。稟議フローを確立したことで購買時の予算管理を厳格化し、請求漏れやグッズの過剰在庫といったバックオフィスの課題を解決した。システムのコストも3分の1に削減し、組織力の強化を目指す。
スポーツコミュニケーションKYOTOは、2008年から京都府でプロバスケットボールクラブ「京都ハンナリーズ」を運営している。男子プロバスケットボールリーグBリーグの勢いが増す中で、同社のバックオフィスには複数の課題があった。
一つ目は、稟議フローが機能していなかったことによる在庫損失だ。以前は必要数の見通しが不透明なまま自由に発注が行われていたため、選手の移籍に伴ってシーズンごとにグッズが刷新される中、翌シーズンへの繰り越しができないグッズの過剰在庫が大きな損失につながっていた。
二つ目は、案件管理の不備による請求漏れの発生だ。スポンサー契約の期間や更新時期の案件管理から、納品書や請求書の帳票発行までを一元管理するルールだったが、従来の案件管理システムが活用されていなかった。その結果、表計算ソフトによる煩雑な二重管理体制に陥り、案件全体の約10%の求漏れが発生していた。特に高額案件は注意が払われるものの、少額案件の管理が手薄になりがちなことが主な原因だった。
案件管理システムの刷新を検討する中で、freee販売の導入を決定した。決定要因となったのは、freee販売が発注の前段階から稟議フローを通す仕組み化ができ、受発注データを「freee会計」と共有できる唯一のプロダクトであるという説明を受けたことだ。また、カスタマイズが不要で利用でき、システム側で法改正などの外部環境の変化に自動で対応してくれるため、属人化を避けられる点も評価した。導入プロセスは円滑に進み、日頃のチャットサポートに加え、週に一度のミーティングで運用について相談できる環境が整っていたことも安心材料になった。
freee販売の導入による最大の成果は、当初の目的である稟議フローの確立である。購買申請で稟議を通し、上長の承認を得てから発注書を作成するまでが一連のフローとして明確化された。これにより、取引状況が明確になり、予算管理が厳格になったことで、受注や請求のミスや請求漏れが大幅に改善された。
また、同時に導入した「freee経費精算」も業務効率化に貢献している。試合会場に足を運ぶ業務が多く出張が煩雑になりがちだった経費精算作業を、アプリ上で完結できるようにしたことで、一人ひとりの手間が削減された。さらに、freee販売への移行で、システム費用を3分の1までコストが削減された。
同社執行役員CFOの恒川錬氏は、「freeeを活用することで社内の申請フローなどの業務フローを自然と整えられるため、組織内の仕組みを変えたいと思っている人には特におすすめしたい」とコメントしている。今後は、クラブとして日本一を目指すだけでなく、システムの面からも働きやすい環境を築き上げ、「組織力で日本一」を目指す。