社会医療法人社団森山医会は、LayerXが提供する法人向けAIビジネスカード「バクラクビジネスカード」を導入した。11月18日、LayerXが発表した。これにより、日々の少額経費やカード支払いに伴う管理の煩雑さを解消し、多様な用途に合わせた柔軟なカード発行で安全かつ効率的な運用を目指す。また、同社の他の「バクラク」シリーズと連携させることで、事前申請からデータ保存まで支払業務全体での手作業撤廃を進める方針だ。
森山医会は、病院や診療所、介護施設などを展開している。従来、日々の備品購入などの少額経費は主に立替精算で対応し、カード支払いが必要な際は経理部門が管理するカードを都度貸与していたため、小口現金やカードの管理・対応に煩雑さを感じていた。
こうした課題を解決するため、バクラクビジネスカードを採用。同カードは、利用用途(決済先)や上限金額、施設・部門ごとなど、柔軟に利用制限を設定できる点が特徴だ。森山医会では、各施設の送迎バス用のガソリンスタンド専用カードや、水道光熱費支払い専用、ネットサービス支払い専用など、用途に特化したカードを発行・活用している。カード利用時にリアルタイムで通知を受け取り、明細を確認できるため、支出状況の把握と管理が効率化し、会計処理の透明性向上にもつながっている。
また、森山医会はバクラクビジネスカードと並行して「バクラク申請」と「バクラク請求書受取・仕訳」も導入している。以前は支払業務を紙で運用していたため、申請書の回覧に時間がかかり、稟議が停滞した際に対象の承認者が分かりづらい、書類の保管やExcel入力に手間がかかるといった課題があった。
同シリーズでシステムを統一したことで、事前申請から仕訳入力、データ保存までシームレスな連携が可能になった。これにより、支払業務における手作業を大幅に削減し、データの管理もシンプル化している。
システム選定について森山医会事務局の宮澤氏は、「経費精算と稟議、請求書での支払い、カードでの支払いがシームレスにシステム内で連携することが決め手となった」と話す。導入後は、カード払いの申請と稟議申請を紐づけられるため、購入理由などを再度記入する必要がなく、時短効果を実感しているという。また、「バクラクビジネスカード」の持つ国内トップクラスの不正利用防止機能も、安全なカード運用を実現する上で評価された。
同法人はAI・デジタルトランスフォーメーション(DX)推進チームを立ち上げ、バックオフィスを中心としたDX化を進めている。宮澤氏は、「一般企業に比べ、医療法人はDX化が遅れている業種だが、一般企業で多く採用されているバクラクを活用することで先進的なバックオフィスを目指す」との考えを示した。今後は、経理業務の効率化をさらに進め、職員が考える業務や全体を巻き込む業務にシフトできる体制を構築したいとしている。