トヨタ自動車TCシャシー設計部は、業務効率化とデジタル化の改善を目的に、ヌーラボが提供するプロジェクト管理ツール「Backlog」を導入した。ヌーラボが10月28日に発表した。同部署では独自にカスタマイズしたダッシュボードを構築し、メンバー全員のプロジェクト別、ステータス別の稼働時間集計をグラフ化、トヨタ生産方式の「カイゼン」の取り組み効率化を実現した。
トヨタ自動車TCシャシー設計部は、ステアリング、サスペンション、ブレーキなどの設計業務を行っている。2021年頃の労使協議において業務のデジタル化を推進する方針が示され、部内の有志メンバーによりDX推進グループが発足した。
日々の業務管理のさらなる効率化にはITツールの導入が欠かせないと考え、当初はExcelなどのツールを使用していた。しかし、部内の情報共有や知識の蓄積を強化する必要があると考え、シンプルで誰でも使いやすいという理由からBacklog導入を決めた。2022年12月に無料トライアルを開始し、現在は部署全体でBacklogを活用している。
Backlogの導入で、部門全体の活動と個人の業務状況を一目で把握可能になった。日々の業務では「部方針のタスク管理」、「個人のタスク管理」、「回覧物の一元管理」に活用している。
部方針のタスク管理では、部として1年間推進するタスクを一元管理し、125名の部員が部方針に基づく個々のタスク進捗を部員全体で共有可能にした。課題の進捗ステータスを表す「状態」にはトヨタ生産方式の「アンドンを引く」という考え方に基づき、「課題発生」「停滞中」も加え、何か問題が発生した際はすぐに状況を共有でき、相談しやすい仕組みを整えた。
個人のタスク管理では、タスクを数時間単位の粒度で課題として起票し、業務の流れやボリュームをガントチャートで可視化して、チーム内で共有している。エクセルでの管理では並び替えに手間がかかり、先に手をつけるべきタスクが埋もれてしまい、見落としにも繋がっていた。
回覧物の一元管理では、コロナ禍で承認回覧が紙書類から電子書類に変わったが、回覧手法がメールやMicrosoft Teamsチャットなどコミュニケーション手段がばらばらだったので、Backlogのボード機能を活用し一元管理することにした。メールやチャットの場合、回覧物の見落としや停滞状況が不明瞭な事が課題だったが、Backlog導入後は、回覧状況がひと目で分かるようになった。
トヨタ自動車はモビリティ・カンパニーへの変革を方針として掲げ、全社的に新しい部品や機能を扱う仕事が増えている。仕事の範囲が広がる中で、業務量の平準化や業務スキルの伝承を実現するためにも、業務をひと固まりの単位ではなく、細かい作業に分解して工数や所要時間を可視化したいと考えていた。
そこで、ヌーラボ公式パートナーであるオープントーンの「Backlog助っ人サービス」を導入。Backlog上のデータから、業務の実態を数値化・グラフ化を実現した。導入後、部員からは「ほかのメンバーとの共有が容易で業務平準化に役立ちそう」「プロジェクトやステータスごとの稼働時間が見られるのが便利」といった反応があった。
TCシャシー設計部の傍嶋氏、城戸氏、久保氏は、「Backlogを見れば、部内全体の業務進捗やメンバーの状況がすぐに把握できるので、今後はさらに効率の良いタスク配分や知見の蓄積に活かしていきたい。Backlogの情報やデータを参照することで担当者本人の納得感も高まり、社員のモチベーション醸成や部署全体の活性化にもつながると期待している。Backlogは、業務の効率化はもちろん、組織運営自体も助けてくれるツールだと感じている」とコメントしている。