石川県信用保証協会は、クラウドサービスの活用と包括的なセキュリティ対策の強化によりセキュアなインフラ環境を構築し、BCP(事業継続計画)対策を強化した。5月23日、環境構築を支援した日立ソリューションズ・クリエイトが発表した。災害発生時でも信用保証業務を継続し、中小企業向けの金融機能維持に貢献したい考えだ。
信用保証協会は中小企業の金融円滑化を目的とする公的な保証機関。47都道府県と横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市の4市にあり、各地域に密着した業務を展開している。
石川県信用保証協会では従来、業務システムの利用は協会内部からのアクセスに限定されており、大規模災害や感染症拡大などで職員の出勤が困難になった場合、業務が停滞し、中小企業への金融支援に遅れが生じるリスクを抱えていた。そこで同協会は、BCP対策を強化し、場所にとらわれないリモートワークを実現できる環境の構築を模索。日立ソリューションズ・クリエイトが提案した「各種ソリューションによる包括的なセキュリティ対策案」を採用した。
従来、業務システムのサーバーなどは一つの事務所に集約して設置していたが、この対策案ではITインフラをMicrosoft(マイクロソフト)のクラウドサービス「Microsoft Azure」に移行するとともに、グループウェアには「Microsoft 365」を採用。事務所が被災した場合でもデータやシステムが保全され、業務継続が可能となる仕組みを構築し、物理的なリスク回避策を講じた。同時にネットワーク環境も刷新し、クラウドUTM、多要素認証、メールセキュリティなどを組み合わせて導入し、協会外からセキュアにアクセスできる環境を整えたとしている。
クラウドに移行したことでサーバーの運用・保守に関するコストや業務負荷が削減できたほか、外出先や自宅からもシステムを利用できるようになった。また、システム基盤をクラウドにシフトしたことで、「スケールアップや構成変更が容易になり、経営環境・システム環境の変化に合わせて、業務見直しが適時に行えるようになった」という。
石川県信用保証協会はこれらの新しい環境を23年12月から利用しており、直後の24年1月に発生した能登半島地震でも被災した中小企業への金融支援・経営支援を継続できたことから、その有効性を実証できたとしている。