東プレ、BIツール活用で空調機器部品の在庫金額を30%削減

2025年10月20日11:10|ニュースCaseHUB.News編集部
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 東プレは、ウイングアーク1stのBIダッシュボード「MotionBoard」の在庫適正化ソリューションを導入し、空調機器関連製品・部品の在庫金額を1年で30%削減した。10月17日、MotionBoardを提供するウイングアーク1stが発表した。多品種小ロット生産で品目数が膨大な製品の在庫適正化を実現し、今後はAI(人工知能)を活用した出荷数推移のパターン検知により、月間40時間の作業削減も見込んでいる。

 東プレの空調機器部が扱う製品は多品種小ロット生産であり、材料・部品点数は約3万品目にも及ぶ。各製品の販売数量の変動も大きいことから、欠品を防ぐために材料・部品の在庫を多めに確保する傾向があり、過剰在庫が大きな課題となっていた。また、従来は在庫調整のための判断基準がなく、生産管理システムから実績データを抽出してExcelで分析・可視化を行っていたため、多くの手間と時間を要していた。

 こうした課題を解決するため、BIツールの導入を検討し、MotionBoardの在庫適正化ソリューションの採用を決めた。選定理由としては、データの見せ方を自由にカスタマイズできる柔軟性、生産プロセスの改善に役立つ多様な分析スキーム、そしてデータ分析の活用の幅の広さを評価した。

 空調機器部では2024年4月にMotionBoardの導入プロジェクトを開始し、在庫適正化ソリューションのテンプレートを活用して製品・部品在庫の状況を分析・可視化するためのダッシュボードを6カ月間で構築。同年10月から本格稼働をスタートさせた。

 このダッシュボードでは , 材料・部品などの在庫状況が滞留期間ごとに色分けされてグラフィカルに表示される。また、担当者の経験に依存しがちだった安全在庫の理論値をテンプレートで算出。この理論値を参考に生産管理システムのパラメーターを調整し、在庫数が安全在庫を下回らないようにコントロールすることが可能になった。

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在庫適正化テンプレートを使って構築したダッシュボード

 安全在庫の調整、仕入れ先との納期の調整、長期滞留品の廃棄などの改善に取り組んだ結果、導入から1年間で在庫金額の30%削減を実現した。

 加えて東プレは、在庫適正化テンプレートとAIを連携させた、AIによるパターン検知を通じて、在庫切れのリスクが高い材料・部品を自動でMotionBoardの画面上に表示する仕組みを導入した。これにより、人手による調査作業が省力化され、担当者の月間40時間の作業削減を見込んでいる。欠品リスクの高い材料・部品を洗い出すための調査の手間もゼロベースになると予測している。

 東プレ 空調機器部岐阜工場 生産管理課 課長の林友紀氏は、今後の展望について、「在庫金額をさらに10%削減するという目標を立てている」とし、在庫適正化テンプレートとAIの活用を通じて「欠品リスクを早期に見いだし、適切なアクションにつなげる仕組みとプロセスを確立させたい」とコメントしている。さらに、MotionBoardの適用範囲を在庫適正化以外の領域へと広げ、工場での生産効率の改善や業務改善などにつなげていくことも構想している。

ニュースリリース