千葉県野田市役所は、全庁的なデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に向け、トヨクモクラウドコネクトの「リスク分析サービス」「ガバナンス構築支援サービス」「ガバナンス監視システム」を導入した。この仕組みにより、少人数での管理体制でも、職員による自由なアプリケーション活用とセキュリティガバナンスの両立を実現し、持続可能な運用体制を確立する。
同市役所では、全庁でのDX推進を進めるにあたり、業務効率化ツール「kintone」の運用管理担当者が1人という人的リソースの制約から、安全な運用体制の構築が大きな課題となっていた。職員には自由にアプリケーションを作成してもらいたいとの方針があるものの、情報漏洩などのセキュリティリスクへの懸念も高まっていた。
そこで、管理工数をかけずに最低限のルール遵守を確実にするため、トヨクモクラウドコネクト(TCC)が提供するサービス群を採用した。選定の決め手は、ルール違反をシステムで自動的に検知できる機能だった。
TCCの支援は、まずリスク分析サービスでkintoneの運用状況を診断し、情報漏洩や設定不備といった潜在的なリスクを洗い出すことから始まった。次にガバナンス構築支援サービスで、豊富な導入実績に基づいたベース案を活用し、実効性のあるガバナンスルールを策定。最後にガバナンス監視システムで、策定したルールが守られているかを操作ログやアプリケーション設定変更から自動でリアルタイムに監視し、違反を検知した場合は管理者へ通知する仕組みを構築した。これにより、担当者1人での管理負担を軽減しつつ、危険な利用を未然に防げる。
ルール策定では、TCCから専門的知見に基づく「叩き台」が提供されたことで、議論が円滑に進み、作業負担が大幅に軽減された。また、人事異動後も確実に引き継げるよう、kintoneだけでなく連携サービスの設定に関する「チェックリスト」も提供された。これは、属人化しない「持続可能な体制」の基盤となった。
野田市役所 総務部 情報政策課の朱田氏は、「自由にアプリを作成させたいが、最低限のルールは守らせたい。この両立を目指すうえで、管理担当者が私1人という状況では、システムによるルールの自動検知は不可欠な機能だった」とコメントしている。また、「ルール策定の叩き台を提供してもらえたことで議論が非常にスムーズに進んだ」とし、人事異動後も確実に引き継げるチェックリストも、持続可能な運用体制構築に貢献していると評価した。
今後は、この安全な土台の上で、庁内業務の改善だけでなく、市民向けサービスへの活用も進める。