東武トップツアーズは、Sansanが提供する経理DXサービス「Bill One」を全国125拠点で導入した。10月30日、Sansanが発表した。旅行業の特性から多岐にわたる請求書処理の課題を解決し、年間約7万件の請求書受領・処理業務をオンライン化することで、経理の請求書処理業務を9割削減する見込みだ。これにより、月次決算の加速とガバナンス体制の強化を目指す。
東武トップツアーズは、旅行業のほか、イベントや展示会の企画運営、地域振興など幅広い事業を展開している。同社はESG経営の一環としてペーパーレス化を推進する中で、経理業務に紙ベースの非効率な業務フローが残っていることが課題となっていた。請求書処理が紙を前提としていたため、会計処理の遅延や支払い漏れなどのリスクも抱えていた。
同社の各支店では、修学旅行や団体旅行、イベント企画などの過程で、ホテルやバスの手配費用、添乗員に関する費用など、年間で約7万件にも及ぶ請求書を紙やデータで受領している。従来、支店では、様式の異なる全ての請求書を一定のフローで処理するため、一度紙で出力し、回覧・承認後に再度スキャンして本社へ送付していた。
本社経理部門でも、受け取った請求書データを再び印刷して確認し、製本して保管する必要があったため、支店と本社の双方で業務工数が大きな負担となっていた。また、承認権限者がツアー同行などで不在となる場合、紙の承認フローでは処理が滞る結果、支払い遅延が発生するリスクがあり、ガバナンス上の課題も存在した。
こうした課題を解決し、生産性とガバナンスの向上を目的として、同社はBill Oneの導入を決めた。
Bill Oneの導入により、同社は紙やPDFなどあらゆる形式の請求書を電子データとしてオンラインで受け取れるようになった。その結果、紙の開封や出力、回覧、スキャン、製本といったアナログ作業が不要になり、経理担当者の請求書処理業務の工数を約9割削減する見込みだ。
また、Bill Oneでは電子データとして受け取った請求書に対し、オンラインで回覧や承認ができる。これにより、承認者が支店にいない場合でも遠隔で承認が可能となり、請求書処理の遅延が解消される。結果として、会計処理の遅延や支払い漏れなどのガバナンス上のリスク低減につながる。
東武トップツアーズ 管理統括本部 財務経理部 主任の前田百合香氏は、「当社では、全社的な取り組みとして、紙に依存した業務から脱却し、ESG経営を推進している。経理業務に関しては旅行業務の特性上、多くの請求書が発生しており、紙中心の処理は大きな負担となっていた。Bill One導入により、請求書処理の工数を大幅に削減でき、残業時間の抑制や経理マニュアル改訂など新たな業務に時間を充てられるようになっている。また、出張先からでも承認が可能となり、業務スピードとガバナンスの両立を実現できた。現場の社員からも『使いやすい』との声が多く寄せられており、現在、社内では9割以上がBill Oneを利用している」とコメントしている。
今後は、支店での支払いをさらに減らし、Bill Oneを活用したオンラインでの請求書受領と支払処理を進め、全社的により効率的で透明性の高い経理体制を確立していく方針だ。