トヨタ自動車東日本は、管理帳票、分析業務のデジタル化にウイングアーク1stのBIダッシュボード「MotionBoard」を導入し、製造現場の紙による手書きの運用から脱却し、DXを加速する。2024年2月26日、ウイングアーク1stが発表した。
トヨタ自動車東日本は、トヨタグループの中核を担う開発、生産拠点としてコンパクト車を中心としたトヨタ車の企画開発、生産を行っている。自動車の製造には組立や塗装など多くの工程があり、部位、工程ごとに満たすべき基準値の適合を数1000種類の帳票で管理している。しかし、その多くが紙による手書きで行われていたため業務負荷が課題となり、効率化が求められていた。また、塗装品質管理のため、塗装段階で発色の差異がないようセンサーにより発色計測データを取得し基準値との合否測定を行っていたが、測色結果のグラフ化や傾向分析は手作業で行っていたため時間がかかっていた。
同社は紙による手書きの運用の改善および作業の効率化を検討し、データ可視化のツールとしてMotionBoardを導入した。選定理由は、基準値を超えたら異常をアラート通知する機能、チャート軸のスケール変更にあわせた動的なグラフ表現などの優れた可視化機能、製造現場の作業者でも使える操作性の高さなどが挙げられる。
トヨタ自動車東日本は、2016年にMotionBoardを導入し、シムトップス社の「i-Reporter」との連携により製造工程の管理帳票のデジタル化を図り、データの可視化と生産性向上を実現した。MotionBoard Cloud導入当初の利用者は5名ほどだったが、全社への展開を機にオンプレミス版のMotionBoardに移行、2024年2月現在は約700名が利用している。定期的な勉強会の開催や使い方教育動画の作成など改善活動に意欲的なトヨタ自動車東日本の文化も後押ししMotionBoardの普及が進んでいる。
管理帳票業務においては、i-Reporterのタブレット入力やBluetoothによる測定器との連携機能で入力業務は大幅に効率化し、MotionBoardとの連携によりグラフの描画とデータの異常傾向のアラート表示までの自動化を実現している。また、確実な測色管理により不良の兆候をとらえ設備を調整することで、製品のバラツキの発生を抑制でき塗装品質の向上に役立っている。
全社への展開後は、「生産管理版」と呼ばれる生産計画と実績管理にMotionBoardが活用され、基幹システムや生産設備のデータを連携、これまで紙で掲示されていた情報が現場に配置された大型モニターへと投影されている。管理者が必要なデータをすぐに確認できる環境が整い、リアルタイムな生産情報の把握により稼働率の向上や生産性向上につながった。また、製造現場のみならず、出勤簿システムデータをMotionBoardと連携させた残業や年休取得率の見える化、プリンターの印刷枚数の見える化など、Excelによる管理業務を軽減し業務効率化やペーパーレス化にも活用されている。