日亜化学工業がBizRobo!内製開発で年間3万3000時間相当の人的リソースを創出

2025年3月18日21:35|ニュースCaseHUB.News編集部
x
hatebu

 日亜化学工業がRPAツール「BizRobo!」を導入し、内製開発で約400体のソフトウェアロボットを稼働させ、年間3万3000時間相当の人的リソースを創出した。3月18日、オープンが発表した。

 光半導体および化学品メーカーである日亜化学工業は、生産現場において製品だけでなく自動化設備やシステムも内製化する文化を持つ。設備の管理などを担うバックオフィス部門でも自社製システムが多く利用されてきたが、業務の自動化は相対的に少ない状況だった。

 そのような中、同社はある講演でRPA開発を通じたデジタルレイバーの活用が高度なDXの出発点になりうるとの話を聞き、大手メーカーによるRPA内製事例を参考に導入を検討した。複数の国内ベンダー製品を試用し、社内環境との適合性、初期投資額、長期運用コストを比較した結果、段階的にライセンスを増強できるBizRobo!の採用を決定した。

 導入は2019年にクラウド型RPA「BizRobo! DX Cloud」から始まり、その後の利用規模拡大に伴い、2022年からは開発・実行環境をオンプレミスで構築する「BizRobo! Basic」へ移行した。詳細な技術情報が公開されていること、サポートが手厚いこと、ライセンス変更に伴う移行作業が円滑に進められることが評価され採用に至った。

 現在、日亜化学工業では数十業務で約400体のロボットが稼働しており、年間3万3000時間相当の手作業をRPAが担っている。具体的な活用例として、製造設備の定期点検に関する実績・予定リストの作業担当者への日次自動メール配信、製造指図書や掲示物の定期見直し期限の作成者・管理者への通知、製品・製造プロセスの設計時に潜在的リスクを記録するFMEA文書における使用済みIDとの重複チェック、重複がない場合のマスタへの転記、重複した場合の修正依頼メール送信の自動化などがある。特にFMEA文書の登録関連業務では月100時間相当の手作業が解消された。

20250318_nichia.jpg
FMEA(故障モード影響解析)文書をマスタ文書に反映する作業イメージ

 導入にあたっては、人員削減目的という誤解を避けるため、ロボット化によって生まれた余剰時間の使い道はあえて確認せず、増員なしで新たな業務に注力できるメリットを強調し、部署全員が関係する作業の負担解消を提案することで活用を推進した。

 導入から5年が経過し、日亜化学工業では既存の手作業をそのまま置き換える工程はおおむね完了したため、今後は業務フローを刷新する一環としての応用に重点を移す。RPAは、作業代替によるリソース創出効果だけでなく、ノーコード開発ツールと社内システムの連携時に用いることができる標準ツールとして、役割を再定義する段階にある。

 今後の取り組みとして、最盛期には約30人いたRPA現場開発者の新規育成を一旦停止し、システム開発本部の数名による実装を原則としながら、現場担当者を開発メンバーに迎える運用も検討する。また、専用システムの内製組織がある生産現場に対し、一時的な作業の受け皿などとしてRPAを提案し、活用範囲をさらに広げながらDXへの貢献を進める。

ニュースリリース


#RPA #BizRobo #automation #DX #productivity #manufacturing #NichiasCorporation #OpenGroup