川崎重工業、CADDiでコスト適正化と組織変革を加速

2025年8月25日18:53|ニュースCaseHUB.News編集部
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 川崎重工業は、業務の属人化解消と生産性向上によるコスト適正化を目的に、製造業AIデータプラットフォーム「CADDi」をロボット事業部門に導入した。8月21日、CADDiを提供するキャディが発表した。導入から1年半で年間数千万円規模のコスト適正化を達成したほか、社員の意識改革や部門間連携の促進といった組織変革にもつながっている。今後は成功事例を社内で横展開し、会社全体の変革を目指す。

 同社は産業用ロボットのパイオニアとして多彩な事業を展開しており、ロボット事業はこの10年で売上が3倍になるなど急成長を遂げている。一方で、国内外のメーカーとの競争が激化する中、スピードを重視した結果、業務の属人化や生産性の伸び悩みといった課題が顕在化していた。従来のシステムでは限界が見えていたため、AIを活用した新たなコンセプトを持つCADDiの導入を決めた。

 CADDi導入の効果は、コスト削減と業務効率化の両面に現れている。製造業データ活用クラウド「CADDi Drawer」の活用で、原価の見直しが進み、年間で数千万円規模のコスト適正化を達成した。調達部門の特定業務においては70%以上の効率化を果たした。設計部門では部品の標準化が進展し、一部の部品群では100以上あった図面を10数点まで集約。これにより金型や治具の削減にもつながっている。

 また、従来は別のシステムに分散していた情報がCADDi Drawerに一元化されたことで、情報の検索性が向上した。これにより、若手からベテランまで誰もがデータを活用できるようになり、ジョブローテーション時の業務習得も迅速化した。社員が自ら業務効率化を意識するようになり、創出された時間をより付加価値の高い戦略的な業務に充てる風土も醸成されつつある。

 導入プロジェクトを主導した同社ロボットディビジョン生産総括部の林和輝氏は、「ロボット事業は急成長の裏で、業務の一部が属人化し、パワープレイでの仕事になっていた。CADDi導入後は各部門の推進メンバーとともにプロジェクト体制をとり、現在では設計、調達、原価管理など、ほぼ全部署に活用が広がっている」と語る。

 今後は、今回の成功事例を部門間で横展開し、事業部を超えた会社全体の変革につなげていく。林氏は、「我々が目指しているのは、属人性の解消と生産性の向上である。今後は開発から市場投入までのリードタイムを短縮し、さらなる生産性向上を成し遂げたい。最終的には、生産プロセスで発生するデータを繋げ、製品ライフサイクル全体にわたって一元的に管理できる『デジタルスレッド』の構築をキャディと共に目指していきたい」と今後の展望を話している。

ニュースリリース