ヤンマーエネルギーシステムは、キャディが提供する製造業AIデータプラットフォーム「CADDi」を活用し、技術資料や類似案件情報へのアクセス時間を大幅に短縮した。8月20日、キャディが発表した。過去案件の流用率を高めることで、提案対応件数の拡大と業務効率化を図る。
ヤンマーグループで発電・空調・熱電供給を軸とするエネルギー事業を担うヤンマーエネルギーシステムは、顧客設備への自社製品の採用提案を行うスペックイン業務において、対応件数の拡大と業務効率化を推進している。同社エンジニアリング部の大阪支社では、新規案件を受け付けた際、過去に対応した類似案件の仕様書や技術資料を参照して作図依頼や検討資料の作成を行っていた。しかし、過去案件の情報がフォルダ管理システム上に分散して蓄積されており、フォルダ名だけでは判別が難しく、必要な資料を探し出すまでに多くの時間を要していた。
その結果、大阪支社の新規案件のうち過去案件を流用できる割合は約1割にとどまり、多くの案件でメーカーへの検討依頼が発生していた。そのため回答までに1〜2週間の遅れが生じていたほか、技術資料の探索にも1案件あたり45〜90分を要し、経験の浅い担当者ほど探索に時間を費やす状況が続いていた。提案対応件数の拡大に向けて、過去の知見やノウハウへ素早くアクセスできる環境の整備が急務となっていた。
こうした課題を受け、ヤンマーエネルギーシステムはCADDiを活用した約1カ月間の集中検証を実施した。顧客への設備仕様採用提案時に必要となる類似案件の特定と技術資料の参照業務を対象とし、技術ニュースや標準図、機器図といったドキュメント群をCADDiに登録して実案件を用いた検証を行った。
検証の結果、過去の類似案件の特定にかかる時間は45分から5分へと最大89%短縮された。また、技術資料へのアクセス時間も従来の50分から26分へと約半減した。検証期間中には実際の案件で過去資料の再利用実績も生まれ、1件あたり1〜2週間の対応期間短縮につながった。流用率の向上により、年間で数十件以上の提案対応増が見込まれている。
今後は大阪支社での成果を起点として、エンジニアリング部全体への展開を計画している。関連ドキュメントのデータ拡充や業務フローへの組み込みを進め、残業時間の削減や提案対応件数のさらなる拡大を図るとともに、支社間をまたいだ技術知見の共有を目指す。
ヤンマーエネルギーシステム取締役部長の細見直彦氏は、「エンジニアリング部門では、長年にわたり蓄積してきた技術資料や過去案件の知見を十分に活かしきれていないことが課題だった。CADDiにより経験の浅い担当者でも必要な情報に素早くたどり着けるようになり、組織全体としての提案力強化につながると期待している。今後は大阪支社での成果をもとに全社展開を進め、さらなる業務効率化と競争力向上を目指したい」と話している。