キリンホールディングスは、Celonisのプロセスマイニングソリューションを採用した。9月10日、Celonisが発表した。調達・購買業務における検収処理の自動化と効率化を図り、年間160人日の工数削減を実現した。属人化していた業務の持続性を高め、継続的な業務改善基盤を構築していく考えだ。
キリンホールディングスの調達部は、キリングループ全体の調達・購買業務を担っている。2023年には間接材向けの調達システムとして「SAP Ariba」を導入したが、月約2万件に上る取引の検収処理で業務の滞留が課題となっていた。支払遅延による下請法抵触リスクを避けるため、独自のシステムを用いて全取引のステータスを確認し、取引先や社内担当者への督促業務を行っていたが、業務開始前の早朝対応や、締日前の業務負荷の増大、さらに高度な専門知識を持つ一部のメンバーしか維持管理できない属人化した構造が課題となっていた。
こうした課題を解決するため、同社のデジタルICT戦略部は、グローバルで豊富なSAPシステムへの適用実績を持つCelonisのプロセスマイニングソリューションを検討。SAP Aribaのデータから業務滞留を自動で検知し、督促メールを自動送信できる点が、同部門が目指す業務自動化に合致すると判断した。また、導入を支援したアビームコンサルティングがCelonisに関する知見を有していたことも、採用の決め手になった。
導入は2024年10月に決定し、約2カ月で開発・テストまでを完了させ、2025年1月から本番稼働を開始した。Celonisの導入により、これまで実現できなかったサプライヤーへの発注未受領や請求書登録のリマインド、社内発注者への承認リマインドなどの機能が実装された。
この取り組みの結果、導入から約半年で年間160人日程度の工数削減という定量的な効果を確認した。これまで属人化していた業務ロジックが明文化され、データ加工から督促の自動送信までが一つのシステムに統一されたことで、業務の持続性が大幅に向上したとしている。現場の請求者における滞留やミスが減少し、管理する調達部でも業務が円滑に進むようになったと高く評価している。
今後は、今回の調達部での成功を足掛かりに、Celonisの適用範囲を営業や生産、財務など他の部門へ拡大していくことを視野に入れている。将来的には、「Salesforce」や「ServiceNow」といった他の業務システムとも連携させ、グループ全体の継続的な業務プロセス改善を推進する方針だ。