レコチョク、アプリの実機テストを自動化 CI連携で開発と検証を並走、通過率9割維持

2025年12月9日18:26|ニュースCaseHUB.News編集部
x
hatebu

 レコチョクは、AIテスト自動化プラットフォーム「MagicPod」を導入した。12月9日、MagicPodが発表した。多様なスマートフォン端末を用いた実機テストを自動化し、開発スピードと品質の両立を図るのが狙いだ。開発部門とQA(品質保証)部門が連携して継続的なテスト体制を構築したことで、テスト通過率は約90%を維持し、開発作業と検証作業の同時並行が可能になった。

 レコチョクは音楽配信事業やソリューション事業を展開しており、多くのモバイルアプリを提供している。アプリ開発において、リリース後の品質を担保するために修正後は必ず手動でリグレッションテスト(回帰テスト)を行っていた。しかし、検証すべき端末やOSの組み合わせが増加するにつれて負荷が増大し、開発スピードを維持しようとするとテスト期間の確保が難しくなるという課題を抱えていた。また、クラウド上のテスト環境では対応できない最新OSや特定端末での検証が必要なため、これらを効率的に自動化する手段を模索していた。

 課題解決のため、手元の実機端末を使って自動テストが実行できるMagicPodを採用した。SaaSでありながらローカル環境の実機端末を用いたテストに対応している点や、モバイルアプリとブラウザの両方のテストに対応しておりツールを一本化できる点が決め手となった。

 運用にあたっては、QAチームだけでなく開発エンジニアも巻き込んだ体制を構築した。MagicPodの「ブランチ機能」を活用し、本番用の「mainブランチ」と開発用の「featureブランチ」を使い分けることで、開発中の新機能のテストと既存機能の安定性確認を干渉させずに実施できる環境を整備した。従来はシナリオを複製して管理していたため二重管理の手間や他者の作業へ影響を与えるリスクがあったが、この機能により独立したワークスペースで安全かつ迅速に変更を検証できるようになったという。

 また、開発ツールである「GitHub Actions」と連携させ、テスト実行を自動化した。開発者がコードを更新したタイミングでテストが走る「開発者起点」のフローと、QAチームが定めたスケジュールで定期実行される「QA起点」のフローを確立している。

 これらにより、開発完了とほぼ同時にテストも完了する「開発とテストの同時並行」を実現しつつある。テスト通過率は約90%で安定しており、失敗した場合もサーバー側の問題かアプリ側の問題かの切り分けが迅速に行えるようになった。単なる工数削減にとどまらず、開発プロセス自体に品質保証の観点が組み込まれ、エンジニアが能動的にテスト設計に関与するなど、組織全体の意識変革にもつながっている。

 レコチョク IT基盤部QA推進グループのKiyosaki氏は、「自動化で最も重要なのはコスト削減ではなく、安定して繰り返し実行できる体制を築くことだ。その体制ができればコスト削減は後からついてくる」としている。また、NX開発推進部のKurashige氏は、「運用全体を変えていく覚悟があるチームには非常に効果が高いツールだ」と話している。

ニュースリリース