学習支援プラットフォーム「Classi」を提供するClassiは、ソフトウェアテストの工数削減と品質向上を目的に、オーティファイが提供するAIテスト自動化プラットフォーム「Autify」を導入した。7月18日、オーティファイが発表した。リグレッションテスト(プログラムの変更がほかのプログラムに不具合を及ぼさないか確認するテスト)の自動化と開発チームへのツール開放により品質保証(QA)チームの負担を軽減し、削減分の工数を開発の上流工程への関与やプロセスの改善活動に充てることで、サービス品質の向上とリリースサイクルの加速につなげる。
Classiでは、10を超える開発チームが、1日に数回の頻度で新機能をリリースする高速での開発体制を敷いている。約15人のQAチームが全機能の品質を担保しており、その負担が課題となっていた。特に、機能改修時に実施するリグレッションテストに多くの工数を要し、人員を増強しても開発のスピードにQAチームが追いつかない場面が発生していたという。
こうした背景から、同社はリグレッションテストの自動化を目的に、2021年10月にAutifyのノーコードテスト自動化ツール「Autify NoCode Web」を導入した。当初はQAチーム内での利用にとどまっていたが、その後、開発チームにもAutify NoCode Webを開放。開発チーム自身がテストを実施しリリースまで完結できる体制を構築したことで、QAチームへの検証依頼の工程と工数を大幅に短縮できたとしている。開発チームにとっては工程が増えた形だが、特定のチームでトライアルを実施し、負担を極力抑えられるテスト環境や運用方法を模索した。
一方で、Autify NoCode Webの運用コスト増が新たな課題として浮上した。開発チームが修正中の動作確認で頻繁にテストを実行するため、利用量に応じた課金体系では想定以上にコストが膨らみ、本来実行したい回数のテストができない状況が生まれていたという。そこで、2025年7月2日にリリースされた実行回数に制限のない新サービス「Autify Nexus」を先行導入。コストを気にすることなくテストを実行できるようになったことで、より深く、質の高い検証が可能になったとしている。シナリオ数が1000を超える同社にとって、Autify Nexusのフォルダ管理機能がテストシナリオの整理に貢献している点も評価している。
一連の取り組みにより、QAチームの役割は大きく変化した。テスト自動化で削減できた分の工数を、開発のより上流工程に充当できるようになった。具体的には、要件定義の段階から内容を把握し、開発に先行してテストシナリオを作成したり、機能改修の影響範囲についてQA視点での助言を行ったりしている。これにより、手動での詳細な検証が必要な案件への集中や、円滑なリリースに向けた改善活動の時間を確保でき、QAチームが担う業務が「高品質なサービスのリリース」そのものへとシフトしたという。
今後は、Autify Nexusを全社に展開し、開発チームがより主体的にテストシナリオを作成できる環境を整備していく計画だ。Classiのプロダクト本部でQAチームの責任者を務める定金裕史氏は、「Autifyは、コーディングスキルを問わず誰でも自動テストを運用できる点がメリット。今後は、QAチームが考えつかないようなテストシナリオを開発チームが追加できる環境を整えたい。それは会社にとっても大きなプラスになる」と述べている。