AIによる文書処理サービスを手がけるCogent Labsは、サブスクリプションの請求・契約変更を管理するZuoraの「Zuora Billing」を導入し、契約管理から請求、収益認識までを一元管理している。10月6日、Zuoraが導入事例を公開した。Cogent Labsでは、この4年間で契約数・取引量が約4倍に拡大した後も、経理部門は導入当時と同じ2~3人の体制を維持し、会計・IT監査対応の工数を30~40%削減した。
Cogent Labsは、AIによる文書処理の自動化プラットフォーム「COGENT AI」や、次世代AI OCRの「SmartRead」を展開する。この4年間でサブスクリプションの契約数は約2500件に増え、従量課金など料金プランも多様になった。一方で、手作業中心の運用でノウハウが特定の担当者に偏り、業務の標準化や共有が難しかった。株式上場(IPO)を見据える中で、契約書などの原始証憑の手作業による抽出や、Excelでの根拠資料の作成が必要になり、監査対応の負荷も増していた。契約数と取引量の増加に対応し、内部統制を強化できる強固な基盤が求められた。
同社は、請求から収益認識、監査ログの保持、プラン変更の統制までを、サブスクリプションのビジネスに合わせて一元管理できるシステムとして、Zuoraを評価した。将来の急拡大に耐えられる基盤になると判断し、Zuora Billingを使い始めた。
取引量は約4倍に拡大したが、経理部門は、導入当時と変わらない2~3人の体制を保つ。手作業のままなら、約5人への増員が必要だった。契約管理から収益認識までをシステム上で一気通貫に確認でき、監査法人には一時的に読み取り専用のIDを発行して、契約内容や料金プランの変更履歴、収益の期間帰属などを直接見てもらう。従量課金では、利用実績から単価計算、超過料金に至る根拠データをたどれるため、Excelで個別に資料を作る必要がなくなった。こうして監査対応の工数は30~40%減った。IT監査では、監査ログ(Audit Trail)から権限や設定の変更履歴を出力し、システムの管理の適切さを示している。
内部統制も強めた。プラン変更の作成、承認、請求処理の担当者を分け、職務分掌を明確にした。AIのサービス特有の月20~30件にのぼる細かな価格改定やプランの追加にも、統制を保ったまま対応できる。月次の締め業務は速くなり、売上や請求、収益認識の状況をタイムリーに経営陣へ報告できる。
現在は、営業管理ツールの「HubSpot」とZuoraの契約・請求情報の整合性チェックにAIを使い、従来は手作業だった確認を自動化している。今後は、銀行データと連携した入金消込の完全自動化(Zuora側で機能を開発中)や、Zuora内のデータから社内向けの財務レポートを自動で作る機能があればよい、と同社は期待する。
経理財務部の名倉廣人部長は「経理・財務業務の属人化を排除し、システムによる仕組み化を進めたことで、担当者に依存しない強固なガバナンス体制を築けた。ファイナンス、営業、経営陣が同じタイミングで、同じ正確なデータを見られるようになり、管理部門がボトルネックになることなく、攻め(営業)と守り(管理部門)の両輪で会社を回せている」と話している。