日立建機、大規模基幹システムをOCIに移行 運用のコストと負荷を低減しつつ処理性能を向上

2024年9月9日08:45|ニュースリリース公開日 2024年6月28日|ニュースCaseHUB.News編集部
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 建設機械製造大手の日立建機は、オラクル(Oracle)の「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」を導入し、経理、開発、生産など大規模な基幹業務システムをクラウドに移行した。6月28日、日本オラクルが発表した。柔軟なスケーリングが可能になり、ビジネス環境の変化への対応力を向上させたという。

 日立建機はDX基盤の整備を進めており、基幹システムや建設機械の稼働データを一元管理し、AIを導入してデータ活用を高度化していく方針だ。そのための環境整備の一環として、大規模基幹システムのパブリッククラウドへの移行を決めた。

 クラウドサービスの選定では、柔軟性と拡張性、オンプレミス環境からの安心・安全な移行、可用性とデータ保護の実現、事業継続性の強化、TCO削減などの観点で複数のパブリッククラウドを比較。「全ての要件を満たした」としてOCIを採用した。

 OCIへの移行にあたっては、オンプレミスのVMware環境にあった約500のアプリケーション・サーバーと約100のデータベースを「Oracle Cloud VMware Solution」「Oracle Exadata Database Service」に移行し、オンプレミス環境と同じアーキテクチャー、管理性を維持しながら、より高い性能、可用性、データ・セキュリティ構成を実現し、コストを最適化したという。また、事業継続性の強化に向け、Oracle Cloudの東京リージョンと大阪リージョンを活用した災害復旧環境も新たに構築する。

 今回のプロジェクトは、日立建機が自社でイニシアティブを取って進めたという。日本オラクルのコンサルティング部門が支援するとともに、データベースの統合と移行は日立ソリューションズが、Oracle Cloud VMware Solutionへのアプリケーション移行は日立製作所と日立システムズが協力している。

 2023年4月から4カ月でOCI上に環境を構築し、23年8月に開発環境を先行して移行。その後、本番環境を段階的に移行し、24年5月にOracle Exadata Database Serviceへの移行を完了した。24年8月にはOracle Cloud VMware Solutionへの移行を完了しており、24年内に災害復旧環境の稼働を開始する予定だ。

 今回のクラウド移行により、日立建機はITインフラの運用コストを約20%削減した。さらに、主要システムでオンライン処理性能が最大50%、バッチ処理性能は最大60%向上したとしている。また、ITチームはインフラの管理から解放されたことでリソースをイノベーションや新しいプロジェクトに割くことができるようになり、DXを推進する体制が強化されたという。

 日立建機理事DX推進本部本部長の桃木典子氏は、「OCIは(従来の)VMware仮想化環境と『Oracle Exadata』で稼働するミッションクリティカルなデータベースとを安全に移行できる唯一のパブリッククラウド」と評価。「構成変更なしに短期間での移行とコスト削減を実現できた」と話す。OCI上に移行したアプリケーションのクラウド・ネイティブ化やオンプレミス環境で稼働するほかのデータベースの移行も予定している。

ニュースリリースURL
https://www.oracle.com/jp/news/announcement/hitachi-construction-machinery-renews-large-scale-core-system-platform-with-oracle-cloud-infrastructure-2024-06-28/