JPX総研が、カーボン・クレジット市場の取引システムをアマゾン ウェブ サービス(AWS)上に3.5カ月という短期間で日立製作所と共に構築した。JPX総研は、日本取引所グループ(JPX)の戦略的なデータ・デジタル事業展開を担う組織である。同社は2020年からAWS上に構築を開始していたJPX共通のクラウド基盤J-WSを活用し、カーボン・クレジット市場の取引システムを開発した。
カーボン・クレジット市場は、温室効果ガスの排出削減量などを取引する場であり、その取引システムの構築は社会的に重要な施策として位置づけられている。JPX総研はこの開発にあたり、JPXのシステム開発実績がある日立製作所をパートナーに採用した。
従来のオンプレミス環境では1年半程度かかるとされる高難度の開発を、クラウド基盤の活用により大幅に短縮することに成功した。この迅速な開発により、2023年10月のカーボン・クレジット市場の開設に向けた実証を成功させ、市場開設に大きく貢献した。
JPX総研がAWSを選定した理由として、JPX共通のクラウド基盤J-WSがすでにAWS上に構築されていたことが挙げられる。この既存のインフラを活用することで、新規システムの開発期間を大幅に短縮することが可能となった。また、AWSのクラウドサービスの特性を活かし、開発環境の迅速な構築や柔軟なリソース調整が可能となったことも、短期開発を実現した要因の一つとされる。
今回の取り組みにより、JPX総研はカーボン・クレジット市場という新たな金融商品の取引基盤を迅速に整備することに成功した。これにより、日本における温室効果ガス排出削減の取り組みを金融面から支援する体制が整ったことになる。
JPX総研は今後も、AWSのクラウドサービスを活用し、金融市場の革新と環境への貢献を両立させる取り組みを継続していく方針だ。また、この成功事例を基に、他の金融商品や市場システムの開発においても、クラウド技術の活用を積極的に検討していくことが予想される。
金融市場のデジタル化が進む中、クラウド技術の活用による迅速なシステム開発は、市場の効率性向上や新たな金融サービスの創出に寄与すると期待されている。JPX総研の取り組みは、金融業界におけるクラウド活用の先進的な事例として、今後も注目を集めることだろう。
ニュースリリースURL
https://aws.amazon.com/jp/solutions/case-studies/jpx/