総合不動産会社の大和財託は、全社横断の生産性向上を目的に、Microsoftの生成AIアシスタント「Microsoft 365 Copilot」を採用した。6月24日、システム導入および活用促進を支援したソフトクリエイトが発表した。新年度の全社目標である「生成AI活用による業務コスト30%削減」に向けて社長以下240名にアカウントを一斉付与し、入居審査業務のリードタイム大幅短縮などを実現している。
大和財託は、不動産投資や土地活用、賃貸管理、売買、建築を一貫して手がける企業だ。同社では事業成長に伴って業務量が増加しており、少人数でも対応可能な生産性の向上が急務となっていた。これまでもさまざまなSaaSを導入して課題解消を目指してきたが、改善効果が局所にとどまる限界を感じていた。そこで、生成AIを汎用的な業務基盤として組織横断的に活用し、業務改善を全社規模へスケールさせる方針を決めた。
システム選定では、既存の業務基盤であるMicrosoft 365との親和性を評価した。SharePointへのデータ蓄積やTeamsによるコミュニケーションが深く浸透しているため、既存のデータ環境を大きく変えずにスピード感とコストを抑えて導入できる点が決め手となった。また、Microsoft 365のID管理と連携することで既存の権限設定がそのまま適用され、エンタープライズ水準の安全性とガバナンスを維持できる点も評価された。
導入プロセスでは、2025年7月にDX推進部門と経営メンバーの約10名でトライアルを開始。ソフトクリエイトが提供する管理者向けワークショップを受講し、社内展開時の障壁や運用の懸念点を事前に把握した。その後、同年9月の新年度開始に合わせて全社員へアカウントを一斉付与。全社員向けにTeamsの活用法に重点を置いてカスタマイズしたワークショップをハイブリッド形式で開催し、受講者全員が共通認識を持つ土台を整えた。
導入後は、管理物件の入居審査における勤務先や滞納履歴など膨大な情報の突合業務で、作業のリードタイムを短縮する成果が出ている。その結果担当者が情報収集ではなく、判断や分析といった付加価値の高い業務に集中できるようになった。また、中途入社した社員がTeamsの履歴から過去の議論や経緯を自然言語で検索して短時間で要点を把握したり、情報量の多いアンケートデータの整理・要約にかかる時間を削減したりと、ナレッジワークの効率化が進んでいる。社内では朝会を通じて活用ノウハウを継続的に共有し、事例を展開し合う文化も定着している。
今後は、目標である業務コスト30%削減の達成に向け活用の幅をさらに広げる。次のステップとして「Copilot Studio」を活用したAIエージェントの導入に取り組み、定型業務の自動化を進める。