経済産業省ヘルスケアユニットは、イトーキのオフィスデータ分析サービス「Data Trekking」を導入し、2023年12月のオフィス移転に伴う職員の健康状態や生産性の変化を分析した。10月18日、イトーキが発表した。
経済産業省ヘルスケアユニットでは、「健康経営」をはじめ、健康に関わる産業創出を促進している。今回のオフィス移転に伴い、自らの働く環境においても、ワークプレイスの刷新により、働く職員の健康や働くコンディションにどう影響があるのかを明らかにするためにData Trekkingを導入した。「健康経営」を推進する部署の移転プロジェクトであったため、新しいオフィス環境整備により、そこで働く職員の「健康」や働くコンディションにどう影響があるのか、データ検証に関心があった。
移転前後のオフィスでData Trekkingを活用し、職員のスペース稼働データと組織サーベイデータを基に、オフィス環境の利用状況や職員の健康状態を比較した。分析にあたり、移転前後に、職員の位置情報から取得したオフィスの利用状況分析と、個人と組織のコンディションを計測するサーベイを実施。二種類のデータを掛け合わせて、オフィス環境を整備したことによる働き方の変化、職員の健康やワークエンゲージメントの変化を確認した。
移転後の新しいオフィスでは、フリーアドレスによるフレキシブルなオフィスレイアウトに刷新した。Web会議用の個室ブースや立ち会議スペース、ソファスペースの設置など、執務エリア以外のスペースを拡充している。
分析の結果、移転前は、職員の能力発揮度を示すパフォーマンススコア全体は全国平均より高かった。しかし、身体や健康に関わるロコモスコアに課題があることが判明した。ロコモスコアは肩こりや筋精疲労など筋骨格、感覚器に生じるネガティブな状態の有無を示すスコア。移転前の調査でも、パフォーマンススコア全体は全国平均よりも高かったが、詳細を見るとロコモには課題があった。
移転後は、職員のパフォーマンススコアは改善されており、主な要因として「快適性」「清潔」「休憩」などワークスペースの刷新が働き方に良い影響を与えていることが確認できた。移転後の調査では、パフォーマンススコア全体が向上しており、要因を確認すると「快適性」「清潔」「休憩」など、オフィスでの働き方に関わるスコア改善によるものが大きく、一部音環境の課題はあるものの環境整備によるコンディション改善への貢献を確認できた。
また、スペース稼働データと掛け合わせた分析結果では、立ち会議スペースの利用時間が長い職員ほど、ロコモスコアに関係の深い「身体活動」「健康意識」を要因とするパフォーマンス向上の相関が見られた。オフィスの使用状況と掛け合わせて分析したところ、たとえば身体運動を促す立ち会議スペースの利用時間が長い職員ほど、ロコモに関係の深い身体活動、健康意識因子のパフォーマンス改善の相関が見られた。
部門別では、ヘルスケアユニットの3つの部門のうち、健康経営推進業務を担っているヘルスケア産業課の職員が立ち会議スペースを最も長く利用し、かつスコア改善も大きいことが確認できた。健康に対する意識やリテラシーの高い職員ほど積極的に立ち会議スペースを利用し、パフォーマンススコアをあげられたことも分かった。
経済産業省ヘルスケアユニットでは、今回の分析結果を踏まえ、今後もData Trekkingを活用して職員の健康増進と生産性向上に取り組んでいく。働く場所や環境整備によってパフォーマンスが上がることが数字で明確に分かり、働く職員の意識やリテラシー向上にも影響があるとの発見があった。今回の実証データを基に組織内部にも発信していくことで、立ち会議スペースを活用して会議時間を短縮する等、生産性高くパフォーマンスを高めることを各人が意識し、行動変容につながっていくことを期待しているという。