奄美信用組合、マイナンバーカード活用で手続きをオンライン化 離島の顧客も便利に

2025年7月18日22:50|ニュースCaseHUB.News編集部
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 奄美信用組合は、オンラインでの住所変更や電話番号変更手続きを開始した。サービス基盤として、トヨクモのkintone連携Webフォーム作成ツール「フォームブリッジ」を採用している。7月15日、システム導入を支援したトヨクモクラウドコネクトが発表した。顧客の利便性を向上させるとともに、職員の事務負担軽減も見込む。

 鹿児島県の奄美群島を拠点とする地域密着型の金融機関である奄美信用組合は、近年の人口減少や高齢化に伴う店舗統合により、一部の顧客にとっては店舗へのアクセスが困難になっていた。特に高齢者や、奄美群島外の鹿児島本土などに転居した顧客にとって、住所変更などの手続きで来店するのは大きな負担となっていた。

 加えて、金融庁から求められる顧客情報の定期的な最新化も課題だった。従来は紙ベースで対応しており、毎月300件から500件発生する住所変更手続きでは、本人確認書類のコピー取得や不要情報のマスキング作業などに多くの時間と手間を要していた。

 こうした背景から、奄美信用組合はオンラインでの手続き実現に向けた検討を開始。もともと渉外担当者の業務効率化のためにサイボウズの「kintone」を導入しており、その過程でフォームブリッジとオプション機能である「マイナンバーカードで本人確認」に着目した。このオプション機能は、スマートフォンでマイナンバーカードのICチップを読み取り、デジタル庁の公式認証アプリを通じて本人確認を行った情報を引用できる仕組みだ。2~3週間という短期間で導入できる点や、低コストで安全なシステムを構築できる点を評価し、採用を決定した。

 導入プロジェクトはトヨクモクラウドコネクトが支援し、1~2週間という短期間で導入準備を完了させたという。導入プロセスでは、奄美信用組合側で仕様確認やリーガルチェックを実施し、トヨクモクラウドコネクトがデジタル庁に必要な問い合わせや確認を行うなど、連携して迅速に構築を進めたとしている。

 新システムでは、顧客がスマートフォンでマイナンバーカードを読み取り、デジタル庁の認証アプリで本人確認を行うと、その情報が自動的にkintoneへ連携される。住所変更届などが自動で作成されるとともに、本部担当者には即座に通知が届く。

 これにより業務効率が向上し、1件あたり約15分を要していた窓口での手続き時間が半分以下に短縮されると予測しているという。月間最大500件の手続きがあった場合、約125時間かかっていた作業が62時間以上削減される計算となり、創出された時間を顧客対応の品質向上や営業活動に充てる考えだ。また、顧客にとっても来店が不要になるほか、入力ミスのリスクが低減されるなど、利便性の向上につながると見ている。これまで更新が滞りがちだった遠隔地の顧客情報も、正確な状態に保ちやすくなるとしている。

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導入効果のイメージ

 今後は、同様の仕組みをインターネットバンキングのパスワード初期化受付にも展開していく計画だ。同行企画部ITシステム課の平田成史氏は、「信用組合が共同利用する大型のシステムは、個別に手を入れることが難しい。kintoneとトヨクモ製品は、必要な機能を外出しで実現するのに適しており、今後も利用範囲を広げていきたい」と話している。

ニュースリリース