敬和会、RPAで年間8800時間の業務削減 感染兆候確認など36業務を自動化

2025年7月21日17:45|ニュースCaseHUB.News編集部
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 大分市の社会医療法人敬和会は、RPAツール「BizRobo!」を導入し、年間8800時間相当の業務効率化を実現した。7月18日、BizRobo!を提供するオープンが発表した。現場職員の負担となっていたカルテ業務などを自動化することで、医療サービスの質向上にもつなげる考えだ。

 敬和会は2020年以前から医療データの活用などデジタル推進に積極的に取り組んできたという。「将来的に優秀なデジタル人材を確保するためには、まず現場の職員が医療DXへの理解を深めることが不可欠」との考えから内製によるDX推進プロジェクトを開始。その一環として、当時職員の大きな負担となっていたカルテ業務の自動化を検討した。同法人内のデジタル推進局が主導して2022年に複数のRPA製品のトライアルを実施し、有効性を確認できたため、RPAの導入を決断した。

 製品選定では、内製でDXを推進するために敬和会が主導権を持ちつつも、ベンダーとの密なコミュニケーションによる伴走支援を重視した。九州に拠点を持ち、支援体制が整っているオープンを評価し、2023年、将来的な法人全体での活用を見据え、サーバー型製品である「BizRobo! Lite+」を採用した。

 敬和会のデジタル推進局は、理学療法士やケアマネジャーなど、各現場部門に所属する有志のメンバーで構成されており、DX推進関連業務を兼任している。同法人はこれらのメンバーがAIやデータサイエンスなどの知識を習得できるように研修体制を整えているほか、デジタル推進局が7つの施設全てのデジタル化施策を統括している。そのため、RPAの導入でも、現場の課題解決につながるソフトウェアロボットの開発と他施設への横展開がしやすいという。導入から2年が経過した現在、36業務でロボットが稼働しており、年間8800時間の業務削減を実現。労務コストに換算すると約2400万円に相当する効果だという。

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感染兆候の確認業務などをRPAで自動化した(出典:オープン)

 自動化した業務の一例に、患者の「感染兆候」の確認がある。従来、手術後や点滴など特定のデバイス使用後の患者について、看護師が一人一人のカルテを目で見て感染兆候の有無を確認していた。入院患者は1日あたり約200人、年間手術件数は約1700件と対象が膨大で、このチェック作業に毎日500分以上を費やしていた。RPAの導入後は、ロボットが電子カルテのデータを読み取り、特定の条件に合致した患者の情報を毎朝担当看護師へ自動で通知する仕組みを構築した。これにより、看護師のカルテ確認作業が不要となり精神的な負担が軽減されたほか、感染兆候への早期対応が可能となり、医療サービスの質の向上にもつながったとしている。

 今後は、敬和会内での体制構築や人材育成の経験を地域の医療機関にも展開し、連携しながらDXを推進する環境を整えたい考えだ。

ニュースリリース