エクネス、Datadogで運用監視を内製化 異常の察知が数分に

2026年10月13日09:00|ニュース|CaseHUB.News編集部
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 福井県鯖江市のエクネスは、オブザーバビリティとセキュリティの統合プラットフォーム「Datadog」で、システムの状態を可視化し、運用監視を内製化した。支援は、エーピーコミュニケーションズ(APC)が担った。以前は、あるインシデントの調査と対応に、40時間近くかかったが、同様のケースでも、数分で異常を察知できるという。10月9日、APCが事例を公開した。

 エクネスは、越前和紙にロボットが手書きでメッセージを綴る「ロボットレター」を中核とするレターテック事業と、規格外野菜を定期配送する「ロスヘル」のフードロス事業を、二本柱に展開する。システムの開発と運用は、イノベーティブソリューション部が担い、両事業のアプリケーションをAWS上で開発して提供している。

 成長期にあったフードロス事業では、新規機能の開発が最優先で、運用は後回しになっていた。各システムのログは取得していたが、障害の予兆や異常に気づく仕組みがなく、問題が起きてから確認する後手の運用が常態化していた。顧客からの問い合わせで、システムの不調に気づくこともあった。障害対応や原因調査は、システム開発チームの藤嶌伊音氏に集中して属人化し、AWSのCloudWatchだけでは原因の特定が難しく、他部門への状況の説明にも苦労した。

 Datadogを知ったのは、2025年のAWS Summitで、ブースに立ち寄ったことがきっかけだ。ただ、監視の仕組みを自力で設計して構築するのは難しく、専門家の支援が必要と考えていた。そこで、伴走支援を行うAPCを紹介され、導入に踏み切った。重視したのは、設定や運用を外部に任せきりにせず、知見を社内に蓄積して、自分たちで運用できる状態を作ることだ。藤嶌氏は「Datadogの導入を丸ごと任せてしまうのではなく、得られる知見を全社的なナレッジとして蓄積し、自分たちで監視の運用を回せる状態を作りたいと考えていた」と話す。

 APCは、導入に必要な作業を洗い出して計画にまとめ、運用を見据えたタグの設計を提案した。失敗談を交えた助言で、命名が中途半端なまま進んで、後から支障が出る事態を避けられた。この経験は、システム開発チーム全体で、タグや命名の考え方を見直すきっかけにもなった。Datadogの公式ドキュメントは英語が中心のため、2週間に1回、2時間ほどのミーティングを設け、一つの画面を見ながら、実際に手を動かす、ペアプログラミングのような形で支援した。監視設定とダッシュボードは、APCが手本を作り、エクネスが横展開した。

 効果は、障害対応の速さに表れた。過去には、あるインシデントの調査と対応に40時間近くを要したが、現在なら同様のケースでも、数分で異常を察知し、迅速に対処できるという。APM(アプリケーション性能管理)機能では、どの処理で、どれくらいの遅延が起きているかを、データで把握できる。経験に基づく当たりづけから、データを根拠にした対応に変わった。アラートは、Slackへの通知まで連携している。収集したログとAPMのデータで、AWS環境の負荷を実測値で把握し、リソース増強の必要性を経営陣に説明した。コスト試算もあわせて示せたため、社内の承認までスムーズに進んだ。

 今後は、非エンジニアの社員を含め、全員でシステムを監視する習慣を作る。ビジネス側が見たい数値をヒアリングし、勉強会を開いて、同じ画面を見ながら議論できる環境を整える。まずフードロス事業で始めた活用を、レターテック事業に横展開し、社内のネットワーク機器の監視にも広げる考えだ。

ニュースリリース