DNP情報システム、Dynatrace採用でアプリ品質向上と運用負荷を軽減

2025年10月9日21:51|ニュースCaseHUB.News編集部
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 大日本印刷(DNP)グループのIT機能分担会社であるDNP情報システムは、アプリケーションのモダナイゼーションを支援するため、Dynatraceが提供するAI駆動のオブザーバビリティプラットフォーム「Dynatrace」を採用した。10月9日、Dynatraceが発表した。同プラットフォームを活用し、SRE(Site Reliability Engineering)導入と監視機能の強化を進めることで、アプリケーション品質の向上と運用負荷の軽減を目指す。

 DNP情報システムは現在、20年以上前に標準化されたレガシーアーキテクチャに基づくアプリケーションを、マイクロサービスやクラウドネイティブ環境へと段階的に刷新している。しかし、アプリケーションやインフラが高度に分散・複雑化し、システム間の連携が密接になったことで、迅速な障害対応やパフォーマンス改善が難しいという課題が生じていた。また、インフラストラクチャチームとアプリケーションチームが個別に情報管理を行う「サイロ化」した運用体制も、効率化の妨げになっていた。

 こうした課題に対し、DNP情報システムはオープンソースの監視ソフトによる集中監視を試みたが、障害の予兆や未知の問題の検知が難しく、障害発生時の原因特定に時間を要していた。特に、インフラとアプリケーションチーム間での迅速な情報共有の強化が大きな課題となっていた。

 同社は、監視対象の増加に伴う設定・運用の負荷を軽減するため、常にシステムの健全性を自動的に把握できるソリューションを求めていた。Dynatraceは、システム監視・APM(アプリケーションパフォーマンス管理)のための専用エージェントソフトウェアである「OneAgent」を活用することで、アプリケーションスタックのあらゆる層からメトリクスを自動収集できる点が評価された。また、複雑な設定や手作業を不要にするAI活用プラットフォームであること、同社が推進するSREに対応したクラウドネイティブ機能を備えていることも、採用の決め手となった。

 Dynatrace導入後、DNP情報システムは個別に導入していたログ管理を統合し、障害の根本原因を効率的かつ自律的に分析できるようになった。また、平均リクエスト数や応答時間、障害頻度などの指標を定量的に把握できるようになり、データに基づいた改善策を講じることが可能になった。これにより、アプリケーション品質の向上と運用負荷の軽減が見込まれ、迅速かつ大規模なイノベーションを推進できる体制が整う。

 DNP情報システム デジタルイノベーション推進センター センター長の河野智晃氏は、「Dynatraceの導入によりチームは、システム全体の可視化に加え、複数のアプリケーション間の相関分析や傾向把握が可能となり、障害の根本原因特定と改善を自律的に実現できるようになった」とコメントしている。今後は、改善効果を定量化し組織全体に示すことで、付加価値向上と新たな価値創出を加速させる。

ニュースリリース