パナソニック、「Domo」活用でSNS分析、顧客の声からヒット商品を開発

2025年7月4日00:12|ニュースCaseHUB.News編集部
x
hatebu

 パナソニック くらしアプライアンス社は、顧客体験価値の向上を目的にデータ活用プラットフォーム「Domo」を採用した。7月1日、ドーモが発表した。SNS上の顧客の声を分析して商品開発に生かし、ヒット商品の創出につなげている。また、FAQなどの分析業務効率化も進み、外部調査のデジタルサポートランキングで1位を獲得するなど、顧客満足度の向上にも貢献している。

 同社では2017年当時、サポート業務のデジタル化が加速する市場環境を受け、Webサポート体制の強化が課題となっていた。特に、家電分野のデジタルサポートに関する外部ランキングで順位を落としたことから、ブランド価値と顧客満足度の観点でも早急な対策が求められていた。従来使用していたツールでは、データ分析のたびにIT部門へ情報収集やデータ整理を依頼する必要があり、現場担当者が迅速に分析に着手できないことも課題だった。

 そこで同社は、顧客体験価値の向上を目指すCX事業開発室が中心となり、すべての顧客の声を一元的に分析できる基盤としてDomoを導入した。まずは顧客からの問い合わせデータを集約したFAQ専用ダッシュボードを構築。これにより、アクセス数や検索クエリ、アンケート結果などをリアルタイムに把握し、課題の抽出からコンテンツ改善までを一気通貫で実行できるようになった。現場担当者が自ら分析と改善のサイクルを回せるようになり、データに基づいた意思決定が加速した。

 Domo導入の効果は多岐にわたる。従来、FAQやWebの行動分析に関する月次報告書の作成には180時間の集計作業を要していたが、これが完全に不要になった。単純作業から解放された担当者は、より本質的な分析業務に集中できるようになった。こうした日々の改善活動が実を結び、FAQの訪問者数は10年間で電話相談件数の約30倍に達した。顧客満足度を測るNPS調査でも、FAQやチャットボットでの自己解決体験が商品への満足度向上に寄与していることが確認されている。これらの成果は、トライベック社が実施するデジタルサポートランキング2024の家電分野で1位獲得という外部評価にもつながった。

 2022年からは、SNS上の投稿内容や検索キーワードといった定性情報と、販売状況などの定量情報を組み合わせたSNS分析ダッシュボードの活用も開始した。商品企画やマーケティング部門がこのダッシュボードを用い、顧客の潜在的なニーズを効率的に把握できるようになった。一例として、2025年4月に発売したコーヒーメーカーの開発では、SNS分析で抽出した「コンパクトなサイズ」を望む顧客の声を重視。サイズを見直した仕様に変更した結果、人気商品となっている。

20250701_Panasonic.png
Domo活用の経緯

 今後は、DomoのAIサービスを活用し、分析業務のさらなる効率化を目指す。パナソニック くらしアプライアンス社CX事業開発室の堀田西五氏は、「販売状況の要約や問い合わせ内容の分析、FAQの改善案提案など、さまざまなケースでAIの活用を試みている。分析を効率化して生まれた時間で、より付加価値の高い業務に注力し、お客様の期待を超える体験価値を提供していく」と話している。

ニュースリリース


#Panasonic #Domo #DataPlatform #AI #CustomerSatisfaction #DataAnalytics