府中市教育委員会は、教職員の働き方改革とセキュリティ向上を目的に、内田洋行の支援のもとで次世代校務DX基盤を構築した。6月1日、内田洋行が発表した。教職員約2000名と児童・生徒約19000名の計約21000名が利用する大規模な基盤で、2026年1月に教職員環境の運用を開始し、4月から全面展開している。ゼロトラスト型ネットワークの導入や生成AIの活用により、場所に縛られない安全な教職員の働き方を支援する。
府中市ではこれまで、校務系と学習系のネットワークが分離されており、教職員は用途に応じて複数の端末を使い分ける必要があった。また、校務用端末は職員室に固定され、成績処理などはその場で行うことが前提となっていたため、端末間でのデータ受け渡しに伴う運用負荷や情報漏えいリスクが課題となっていた。こうした状況を解消し、文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」の第2段階であるGIGA第2期を見据えて教職員が安全かつ快適に業務を行える環境を整えるため、ネットワーク構成の抜本的な見直しに踏み切った。
システムの構築にあたっては、文部科学省が推進するガイドラインに準拠し、ネットワークとセキュリティをクラウド上で一体運用するSASEを中核としたゼロトラスト型ネットワークを採用した。Fortinetの「FortiSASE」を用いて通信経路を常時暗号化し、アクセス許可を厳格に管理する。これにより、教職員は1台のノートPCで校務と学習の双方を安全に扱えるようになり、教室など職員室以外の場所でも業務を行えるロケーションフリーな環境を実現した。端末にはインテルvProテクノロジー対応の富士通製PCを採用し、OS起動前からの不審な挙動検知を可能にしている。
さらに、利便性と安全性を両立させるため、利用者に合わせた多層セキュリティ基盤と統合ID管理基盤を整備した。教職員にはデバイス認証と顔認証などを組み合わせた多要素認証を導入し、児童・生徒には証明書認証を採用。HENNGEの「HENNGE One」を活用して「Microsoft 365 Education A5」や「Google Workspace for Education」などのアカウント情報を統合し、シングルサインオンによってログインの煩雑さや管理負担を軽減した。また、校務関連データの外部媒体への書き込み制限や、メール添付ファイルの自動共有リンク変換など、誤送信を防ぐ対策も講じている。
業務効率化に向け、市内すべての市立小・中学校において学校運営の中核を担う教職員を対象に、生成AI「Microsoft 365 Copilot」を活用した校務支援も開始した。通知文や保護者向け案内文の作成、会議資料の整理、議事録の要約などに活用し、安全な運用ルールや事例の蓄積を進める。今後は「Microsoft Copilot Studio」を活用し、校内規定やセキュリティポリシーに関する質問に即座に回答するAIエージェントの構築も目指す。また、2026年からはデジタル教科書の利用状況を横断的に可視化するダッシュボードの開発も予定している。
府中市教育委員会事務局教育部指導室室長補佐の隅内裕氏は、「本取組により、教職員は意識することなくセキュアな通信で各種システムを利用できるようになり、時間や場所を選ばず安全に業務を行える環境が整備された。創出された時間を児童・生徒一人ひとりの支援の充実につなげ、持続可能な学校教育の実現を目指す」と話している。