千住スプリンクラーは、岩手県内2工場の製造設備約150台を対象としたデータ基盤として、PROMPT-X(プロンプトX)の時系列データベース「CLOUDSHIP」および時系列データ分析システム「RealBoard」を採用した。5月11日、PROMPT-Xが発表した。年間約5億件にのぼる膨大な機械稼働データをリアルタイムに可視化し、データに基づく意思決定が可能な「次世代型DX工場」の実現を目指す。
千住スプリンクラーは国内トップシェアを持つ消火用スプリンクラーヘッドメーカーだ。同社は「SP-X(Sprinkler Transformation)」を掲げ、INDUSTRIAL-Xと共に2025年7月から丸森工場(岩手県一関市)を起点とするDXプロジェクトを推進している。製造現場の熟練者が持つ勘や経験をデータと組み合わせ、デジタル空間で工場の状況を再現する「デジタルツイン」の構築を目標としている。
今回のプロジェクトでは、要件定義から着手する従来の手法を避け、短期間で生データを可視化して現場と経営層が同じ事実を共有するアプローチを採用した。導入にあたっては、新旧混在する約150台の加工設備に対し、PLCからの直接連携やレトロフィット型手法を組み合わせることで、わずか3カ月で全設備のデータ連携を完了させた。収集されるデータは設備1台あたり1日約1万件に達するが、CLOUDSHIPの高速な書き込み・検索性能により、リアルタイムな監視環境を整えた。
システムの導入により、全設備の稼働状況のリアルタイム監視が可能になったほか、蓄積データに基づいた現場の稼働分析や原価情報の算出といった具体的な効果が現れている。RealBoardをベースに自社専用にカスタマイズされたダッシュボードを活用することで、ベテランの暗黙知が可視化され、現場エンジニアから工場経営層までが同一のデータに基づいて議論できる環境が構築された。早期の可視化は、生産現場のエンジニアの生産性向上にも寄与している。
今後は、蓄積されたデータを活用したKPIダッシュボードの拡充や、AIを用いた需要予測・生産計画の最適化に取り組む計画だ。千住スプリンクラーは、今回構築したデータ基盤をデジタルツインの入り口と位置づけ、蓄積データを原価管理や経営判断に直接活用していく。