サイテックジャパン、eラーニング化でICT研修を全国展開 出張費年240万円を削減

2025年10月31日14:01|ニュースCaseHUB.News編集部
x
hatebu

 建設現場のICT化を支援するサイテックジャパンは、eラーニングシステム「learningBOX」を導入した。10月30日、learningBOXが発表した。全国に点在する取引先への研修をオンライン化し、出張に伴う費用と担当者の負担を大幅に軽減した。今後は施工者向けの研修も展開し、地方におけるICT施工の普及を後押ししたい考えだ。

 サイテックジャパンは、国土交通省が推進するi-Construction関連商品・ソリューション(ICT土工、規格の標準化、施工時期の標準化)の販売・サポートを手がける。具体的には、ICT建設機械や測量器、ソフトウェアやクラウドサービスの販売・サポートを、販売代理店や関係各社と協力して展開している。

 同社では、通常の建設機械をICT建設機械として活用するためのシステム「Earthworks」(EW)の認知拡大と商品知識の習得を、販売代理店や建機販売会社、レンタル会社などに対し行う必要があった。しかし、関係先が全国に点在しているため、以前は現地に赴く出張型研修・試験が中心で、研修で全国を巡るには物理的な限界があった。また、オンラインフォームでの試験も試したが、トラブルが多く円滑に実施できなかった。

 そこで、教育を効率的に広げるためのeラーニングシステムが必要と判断し、複数のパブリッククラウドを比較検討した結果、learningBOXの採用を決めた。

 learningBOXの採用にあたり、フリープランで機能と操作性を確認し使いやすさを高く評価した。PowerPointなどの身近なツールで教材が作成でき、すぐに内製化できると感じたことも決め手の一つとなった。また、アカウント数に応じた従量課金制であるため、利用状況に応じたコストの見える化ができ、コスト構造が自社事業モデルに合致した点も評価した。大きな投資をせずに小さく始め、利用が広がれば柔軟に拡張できる「導入リスクの低さ」も決め手となった。

 2022年12月末にlearningBOXを導入し、取り扱い製品に関する教育コンテンツが一からのスタートとなったが、マニュアルをPDF化した資料や、親会社である米Trimble社から提供された英語マニュアルの和訳などをベースにコンテンツを作成。顧客からの質問などを基に都度修正・追加を行い、2023年5月頃に研修をプレオープンした。

 現在、learningBOXでは「高度エンジニアコース」と、同社独自の資格制度「ICTテクニカルサポーター認定制度」を展開している。特に「高度エンジニアコース」は専用の研修があまり展開されていない分野のため、販売代理店や建機販売会社などのICT担当者に広く利用されており、現在600アカウントほどが稼働中だ。新入社員の社内研修としても活用されている。

 learningBOXの導入効果として、最も明確なのは出張費用削減だ。従来は「ICTテクニカルサポーター試験」の実施に2名体制で現地に2泊3日で赴き、1回あたり約30万円、年6回から8回で年間約180万から240万円の出費が発生していた。learningBOXへの切り替えで研修・試験がオンラインで完結でき、コスト削減につながった。試験運営もlearningBOX内で完結し、採点も自動化されスムーズになっている。

 さらに、従来のやり方では不可能だった数百名規模への試験展開が可能になったことで、ICTという新しい分野をより多くの関係者に知ってもらい、実際に使ってもらうきっかけを作れたことが大きな効果だとしている。

 今後は、施工者向けのシステムを展開して、ICT施工がこれからのスタンダードになるよう積極的に後押ししていく。同社の石渡博丈氏は、learningBOXはコストや使い勝手の面でハードルがかなり低く、大きな投資をしなくても小さく始められる安心感のある仕組みだと述べている。

ニュースリリース