東京電力エナジーパートナーは、全国複数拠点・数千席規模のコンタクトセンターにおける新受電環境の基盤として、AWSのクラウドサービス「Amazon Connect」を採用した。6月26日、アマゾンウェブサービスジャパンがブログで発表した。オンプレミス環境の保守期限に伴う刷新を機に、顧客体験の向上と業務効率化を同時に実現するプロジェクト「SEEDS」を立ち上げ、全国24拠点のうち18拠点で切り替えを完了した。
東京電力エナジーパートナーは、東京電力グループにおける小売電気・ガス事業を担う会社で、家庭や企業向けの電気・ガス料金プランや関連サービスを提供している。同社では、デジタルチャネルの比率が高まる中でも問い合わせの約4割を電話が占めていたが、拠点ごとに利用システムが異なり、会話データを横断的に活用できない課題があった。また、自動音声応答の構成が複雑で窓口が分かりにくいことや、応対後の処理負荷の大きさ、管理者へのエスカレーションの多さも課題となっていた。
システム刷新にあたっては、標準機能を最大限活用してスクラッチ開発を最小限に抑える方針を採用し、要件整理からリリースまで約10カ月、拠点切り替えも約3カ月で完了させた。
新たな環境では、Amazon Connectを中核に、外部プログラムや統合AI基盤「Amazon Bedrock」を連携させた構成を採っている。処理の特性に応じて二つの系統を設けており、即時性が求められる終話後の会話要約には軽量・高速なAIモデル「Claude Haiku」を適用。応対内容が自動的に要約されてオペレーターの画面に即座に表示されるようになり、後処理業務の参考情報として活用されるほか、オペレーター間の通話転送時の情報引き継ぎにも役立てている。
一方、翌営業日以降に処理するバッチ系統には高性能なAIモデル「Claude Sonnet」を採用した。通話内容から問い合わせ理由を64分類で自動判定するコールリーズン分析では、検証データにおいて網羅性95%、正解率85%の精度を達成し、オペレーターの配置計画の改善につなげている。さらに、従来は一部サンプルに限られていた法令チェック業務についても、生成AIを活用することで低コストでの全件自動チェック体制を確立し、コンプライアンス遵守と品質向上の両立を図っている。
プロジェクト推進にあたっては、AWSの各種支援サービスを活用した。実務担当者が主体となってプロンプト開発や分析を繰り返すプロセスを経ることで、社内の実務担当者11名がプロンプトの設計・評価スキルを習得し、自走して継続的な改善を行える内製化体制を構築した。
今後は次のステップとして、従来の自動音声応答を廃止し、自然な会話形式で適切な窓口へ振り分ける一次応対の自動化や、会話内容をリアルタイムに分析して手続き案内を自動表示するオペレーターのリアルタイム支援など、さらなる高度なAI活用の推進を計画している。