水道機工は、業務標準化や効率化を図るため、内田洋行ITソリューションズ(ITS)の建設業ERPシステム「PROCES.S」を導入した。10月29日、ITSが発表した。
水道機工は、1924年創業の水処理事業のリーディングカンパニー。上下水道施設や環境保全・衛生施設の設計・施工・監理などを手掛け、2004年からは東レグループの一員として事業を展開している。同社は長年、社内SEが内製したオフコンシステムを運用してきたが、販売管理など複数のシステムとの連携が不十分で、業務の属人化や社内リソース不足が課題となっていた。
水道機工は、これらの課題を解決するために新システムの導入を検討。最終的に、建設業の事務処理に必要な業務をパッケージ化したクラウド対応型のERPシステムのPROCES.Sを選定した。選定の決め手は、同社の業務に必要な機能を備えつつ、コストパフォーマンスに優れていた点だ。水道機工は、必要な機能を満たしながらも、大手ベンダーのシステムよりも価格面でメリットのあるPROCES.Sを採用した。
2011年5月から始まった導入プロジェクトでは、ITSのエンジニアと綿密な打ち合わせを重ねた。水道機工は薬品注入装置などを製造する工場も保有しており、建設業の機能に加え、生産管理や在庫棚卸など製造業向けの機能も必要としていた。ITSは、水道機工のニーズに合わせたカスタマイズを実施した。
PROCES.Sの本格運用は2013年4月から開始。導入後は、入力作業が各事業部に分散されたことで経理部門の負担が軽減された。オフコン時代は経理部門がすべての入力作業を行っていたが、PROCES.S導入後は各担当事業部が分散入力できるようになった。また、経費精算も現金手渡しから口座振込に移行したことで、月次入力作業にかかる時間が大幅に短縮された。
さらに、PROCES.S導入によって業務の標準化も実現。情報システム部門の業務属人化が解消され、他の業務に時間を割けるようになった。また、各事業部からPROCES.Sにアクセスして入力できるようになったことで、工事原価をリアルタイムで把握することも可能になった。水道機工 情報システム課 課長の藤川陽一氏は「PROCES.Sによって従来抱えていた課題は解決できた」と評価している。
水道機工は2021年にPROCES.Sのバージョンアップを実施し、AWSを使ったグループ共通のサーバー環境に移行した。これにより、サーバー管理の負担が軽減され、安定稼働とデータセキュリティの向上が実現した。
水道機工は今後、PROCES.Sの活用範囲をさらに広げていく方針だ。代理店専用のECサイトを構築し、受注データをPROCES.Sに連携させることで、受注業務の効率化を図る計画を進めている。また、請求書電子化ツールとの連携も検討しており、ITSの継続的なサポートに期待を寄せている。