調剤薬局チェーンのイントロンは、自社開発の調剤薬局向けクラウドサービス「あなたの調剤薬局」の顧客管理を、Excelから住友電工情報システムのノーコード型ツール「楽々Webデータベース」に移行した。住友電工情報システムが9月30日に発表した。取締役が自ら土日の2日間で顧客管理アプリを構築し、アプリ間のデータ連携によって情報更新の漏れを削減した。契約更新が近い顧客をすぐに検索できるようになり、的確で効率的な営業フォローにつなげている。
イントロンは1993年に埼玉県川越市で創業し、埼玉を中心に東京、千葉、茨城、三重、熊本、宮崎で39店舗の調剤薬局を展開する。公式サイトによると、従業員数は2026年3月末時点で215人。2019年には、自社開発の業務システムをパッケージ化した調剤薬局向けクラウドサービス「あなたの調剤薬局」の提供を始めた。2026年8月の取材時点で、同サービスは600法人、1200店舗に利用され、調剤薬局事業に次ぐ新たな事業の柱になっている。
同社は、サービス提供開始直後に作成したExcelファイルで顧客情報を管理していた。利用者数が100、200と増えるにつれてファイルの操作が重くなり、複数人による同時更新もできなかった。顧客情報の検索には数分を要し、更新漏れも頻発して、データの整合性を保ちにくくなっていた。
契約更新が近づくと、同社は利用者に連絡し、更新の要否を確認する。顧客情報が正確でなければ連絡漏れにつながる恐れがあることから、管理基盤の見直しを進めた。
取締役管理本部長の石津直幸氏は2026年1月、新たなシステムの検討を始めた。Webで3製品を比較し、「シンプルな機能」「手頃な価格」「開発経験がない人でも扱いやすい操作性」を重視した。情報システム部門の人手が限られるなか、独力で早期に導入できることも選定条件とした。Excelファイルからの移行が目的であり、過剰で複雑な機能は不要と判断したという。試用時にMicrosoft Accessに近い操作感を確認し、楽々Webデータベースを選んだ。
移行作業は土日の2日間で実施した。Excelデータには不要な空白や全角・半角の不統一があったため、データを整備したうえで取り込んだ。翌月曜日には、営業部門とカスタマーサポート部門が利用を始めた。
Excelで管理していたシートごとに、「法人情報」「店舗情報」「契約情報」のアプリを作成した。アプリ間データ連携機能を用い、法人情報を更新すると、該当する店舗情報や契約情報も同期して更新できるようにした。これにより、Excel運用時に発生していた情報更新の漏れを削減している。
2026年8月の取材時点では、5部署の15人が楽々Webデータベースを利用している。Excelでは同時更新ができず、閲覧権限を営業部門やカスタマーサポート部門の一部に限っていた。一方、Webシステムへの移行後は、多数の利用者が同じアプリを同時に閲覧できるようになった。請求管理や入金管理もアプリ化し、経理、開発、契約管理の担当者へと利用範囲を広げている。
期間を指定して検索すると、契約更新が近い利用者をすぐに表示できるため、更新確認の連絡漏れのリスク低減につながった。カスタマーサポート部門では、問い合わせへの対応に加え、機能追加の案内やアップセル提案など、利用者に能動的に働きかける対応を進めやすくなった。営業会議では、担当者別の活動量を週次で確認している。
今後は、オプション機能の拡充に合わせて必要なマスターを追加し、顧客情報管理の基盤をさらに拡張していく考えだ。石津氏は、楽々Webデータベースについて「当社の営業活動の加速装置と言っても過言ではない」と評価する。Excelからの移行という当初目的に対し、必要最小限の機能を備えたシンプルなシステムが適していたとしている。