KMユナイテッドは、社内の人事・労務に関する問い合わせ対応に、AIエージェントプラットフォーム「Agentforce」を導入した。セールスフォース・ジャパンが9月30日に発表した。人事・労務担当者に寄せられる問い合わせは月間延べ60件から90%減少し、従業員への24時間365日の即時対応も可能になった。今後は、ベテラン社員が持つ現場の知見やノウハウといった暗黙知を蓄積・活用する仕組みへの応用を検討する。
KMユナイテッドは、建築塗装専門工事会社の竹延の子会社として2013年に設立された。現場監督が担う書類業務をサテライトオフィスに集約する「建設アシスト」や、建築・土木学部を卒業した外国人エンジニアが現場を支援する「建設アスリート」を展開している。建設業界の人手不足や、時間外労働規制の強化に伴う「2024年問題」への対応を目的とした取り組みだ。
同社では事業拡大に伴い、従業員から寄せられる人事・労務関連の問い合わせ対応に加え、BPO業務の業務プロセス改善や効率化の成果報告に関する書類作成の工数も増加していた。限られた人員でこれらの業務に対応することが課題となっていた。
同社はすでに、「Sales Cloud」をはじめとする複数のSalesforce製品を全社で利用している。既存の顧客・従業員データ基盤と連携できる点を評価し、Agentforceを採用した。
現在、従業員からの日常的な質問には、AIエージェントが24時間365日対応している。従来は人事・労務担当者に月間延べ60件寄せられていた問い合わせが、Agentforceの活用後は90%減少した。一方、Agentforceへの問い合わせ件数は170%増えた。問い合わせの窓口をAIエージェントへ移すことで、営業時間内に集中していた対応を常時受け付けられる体制に改め、担当者や従業員の待ち時間を減らすとともに、回答品質の均質化につなげた。
定型的な確認や回答にかかる負荷が減ったことで、人事担当者は新人育成など、より専門性が求められる業務に時間を振り向けられるようになった。今後は、音声データを含む非構造化データの活用を進め、ベテラン社員が持つ現場の知見を組織全体で共有する「シェアードサクセス」の実現を目指す。その手段として、「Agentforce Coworker」の活用範囲を広げることを検討する。
KMユナイテッドの竹延幸雄社長は、「私たちが向き合っているのは、人手不足そのものではなく、人の活かし方の問題です。Agentforceにより、社員からの日常的な問い合わせにAIエージェントが応えるようになり、担当者は本来注力すべき一人ひとりの育成や現場支援に時間を使えるようになりました。今後は、現場のベテランが持つ知見をAIで組織全体に広げ、シェアードサクセスの実現をさらに加速させていきたいと考えています」とコメントしている。