一休、Google Cloud活用で技術負債を解消 インフラ運用負荷を軽減し開発に注力

2025年12月19日16:00|ニュースCaseHUB.News編集部
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 一休は、Google Cloud製品群を活用し、システム基盤の技術的負債解消と開発効率化に取り組んでいる。12月11日、Google Cloudが明らかにした。従来のオンプレミスや仮想マシン環境からコンテナベースのマネージドサービスへ移行することで、インフラ運用負荷を大幅に軽減したという。あわせてクラウド間接続サービスも導入し、システム全体のパフォーマンス向上を図っている。

 高級ホテル・旅館やレストランの予約サイト「一休.com」などを運営する一休は、1998年の創業以来、長年にわたりサービスを提供してきた。その反面、システムの成長過程で古い技術が残存する「技術的負債」が課題となっていた。かつてはオンプレミス環境でインフラを構築しており、ハードウェアの調達から構築までに約2カ月を要するなど、エンジニアが保守作業に時間を取られ、本来注力すべき開発業務を圧迫していたという。

 同社は2015年からシステムの刷新プロジェクトを開始し、モノリシックな構造の分割やクラウド移行を進めてきた。2019年頃にはコンテナ技術であるKubernetesを採用したが、技術の進化に合わせてさらなる運用効率化を模索。インフラの下層レイヤーを意識せずに済むマネージドサービスの活用を検討し、ウェブアプリケーションとバッチ処理を同一の枠組みで扱える点などを評価してGoogle Cloudのサーバーレスプラットフォーム「Cloud Run」を採用した。

 移行にあたっては、既存の他社クラウドサービスとGoogle Cloudを併用するマルチクラウド構成となるため、クラウド間の通信速度が懸念材料だった。当初利用していた接続サービスでは高トラフィック時の性能に課題があったが、Google Cloudの相互接続サービス「Cross-Cloud Interconnect」を採用したことで通信性能が大幅に改善し、本格的な導入に至ったとしている。

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出典:Google Cloud

 Cloud Runなどの導入により、プラットフォーム開発チームはインフラの保守管理から解放され、プロダクト開発チームの作業効率も向上したという。マスメディアで紹介された時などに発生する突発的なアクセス増に対しても、Google Cloudのオートスケーリング機能により安定したサービス提供が可能になった。

 一休CTO室プラットフォーム開発チームの徳武聡氏は、「プロダクトを開発するエンジニアがアプリケーションの運用環境をより理解しやすくなったことが最大の成果。Google Cloudは管理画面が分かりやすく、直感的に把握できるため、サービス運用に関する認知負荷が下がり、エンジニアに思考の余裕が生まれる。これがより良いプロダクト開発やオペレーション効率化につながり、ビジネスの発展にも結びつく」と評価している。

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