ベルーナは、GROWTH VERSEが提供するマーケティングAI SaaS「AIMSTAR(エイムスター)」を採用した。11月13日、GROWTH VERSEが発表した。従来の課題であったメール配信におけるレコメンド精度の低下とシステム運用の非効率性を解消し、顧客一人ひとりに最適な情報を提供するCRM施策を推進する。今後はAI分析に基づき、顧客の離脱防止やクーポン最適化などを図ることで、顧客のLTV(ライフタイムバリュー)最大化を目指す方針だ。
ベルーナは、アパレル・雑貨を中心とした通販事業を主力とし、「ベルーナオンラインストア」などの自社ECのほか、カタログ通販なども手掛ける。同社の主力通販事業の中心顧客層は65~69歳の女性で、このうちおよそ3人に1人がベルーナの会員という巨大な顧客基盤を持つ。
これまで同社は、既存顧客に対するメルマガ発行による顧客転換率の向上とLTV向上をミッションとするEC事業本部Eマーケティング部CRM設計室において、CDP/MAツールの刷新を検討していた。
刷新を決断した背景には、三つの大きな課題があった。一つ目は「レコメンド精度の低下」で、会社全体の売上が伸びる一方で、レコメンド経由の売上が伸び悩んでいたことだ。特に、AIによる自動レコメンドはできても、特定のテーマやカテゴリの商品に絞るなど、具体的なマーケティング施策に合わせたレコメンドの制御が困難であった。二つ目は「システム運用の非効率性」で、従来のMAツールではバウンス(不達)が多発し、別途メール配信ツールを併用して手動で再配信する作業が発生していた。これにより、本来注力すべきCRM施策に十分なリソースを割けない状況にあった。三つ目は「サポート体制の遅さ」で、システムエラー発生時に問題解決に数カ月単位の時間を要し、特に外資ツール特有の時差表示などにも苦しめられていた。
これらの課題を解決するため、同社は「ベルーナのビジネスモデルに合わせた施策提案力」と「現場メンバーの使いやすさ」を新たなツールの選定要件とした。
最終的に6社のツールを比較検討し、「AIMSTAR」の採用を決定した。選定の決め手となったのは、データ連携の柔軟性とレコメンド精度の高さだ。特にデータ連携においては、既存ツールのAWS S3連携データをそのまま使える点や、ファイル到着をトリガーとしてデータを取り込める柔軟性が評価された。
最大の課題であったレコメンドについては、デモで実際にベルーナの商品を取り込み、レコメンドの表示を体験した結果、精度の高さに納得した。これまで実現できなかった「カテゴリごとのレコメンド」などのカスタマイズについても、実現可能であるイメージを持てたことが大きかった。また、実際にメールを作成する現場メンバーが「使いやすい」と強く推した操作性も、決定打となっている。
今後は、AIによる分析機能に期待を寄せている。現在は一律で実施している初回購買や2回目購買の顧客への施策について、AI分析を通じて最適なタイミングでの実行を目指す。また、離脱タイミングの分析に基づいた顧客ごとの離脱防止策の実施、将来的にはクーポンを送信しなくても購入する顧客には送らないといったコスト効率を考慮した最適なオファー戦略の展開も視野に入れている。
EC事業本部Eマーケティング部CRM設計室の矢作氏は、今後の展望について、「最適な内容と最適なタイミングでのご案内を実現できるCRMの展開」を目指すとし、「お客様が真に必要としている情報を、最適なタイミングで、最適なチャネルで提供することで、顧客体験を向上させ、結果的にLTVの最大化に繋げたいと考えている」と話している。