三菱HCキャピタルは、リース資産登録業務の省力化とデータ活用の高度化を目的に「Ai Workforce」を採用した。6月17日、Ai Workforceを提供するLayerXが発表した。
三菱HCキャピタルは、多様なサプライヤーから年間数万件に及ぶ見積書を受領し、リース料の算出や物件の法定耐用年数の特定、システムへの登録などを行っている。従来は人手による処理が中心で、サプライヤーごとに異なる見積書フォーマットへの対応が大きな負担となっていた。RPAやOCRなどの既存技術では多様な帳票の自動処理が難しく、業務効率化に長年課題を抱えていた。
こうした背景のもと、三菱HCキャピタルは中長期的な経営戦略の一環としてDXを推進。基幹業務レベルでの生成AI活用に取り組み、見積書の多様なフォーマットからデータをワンストップで抽出・整形できる点を評価し、Ai Workforceの導入を決めた。
導入では現場担当者とLayerXのエンジニアが密接に連携し、リース業務固有のルールやニーズに即したソリューション構築が進められた。Ai Workforceは、見積書をアップロードするだけでAIが明細データを抽出・整形し、物品の分類やコード付与、カスタマイズしたExcelテンプレートへの自動転記やCSV変換までワンクリックで完了できる仕組みを実現した。
2025年2月に実施したトライアルでは、約350件の見積書処理で正答率80%超の精度を達成し、89.7%のユーザーが省力化効果を実感した。これまで1時間以上かかることもあったデータ登録作業が、導入後は半分以下の時間で完了するようになり、バックオフィス部門を中心に年間1万2000時間の業務削減が見込まれている。
Ai Workforceは、多様な帳票フォーマットの柔軟な解析と正確なデータ抽出を実現し、LLM(大規模言語モデル)の自然言語処理能力とルールベースのアプローチを組み合わせたワークフローにより、複雑な帳票処理でも高精度かつ効率的な業務運用を可能にした。また、AIによるデータ生成後の確認作業も直感的に行える設計となっており、現場担当者の安心感や作業効率向上にも寄与している。
三菱HCキャピタル事務部の関氏とカスタマーサポートセンターの藤田氏は、「これまで何度も機械化を試みたが、サプライヤーごとに異なるフォーマットのデータ化が障壁となっていた。Ai Workforceの導入により、課題であったデータ化やオペレータの経験に依存していた一連の作業が機械化でき、現場負荷を大きく軽減できた」と評価している。
今後は、取得した見積書データをデータベースに登録し、エージェント機能を活用することで、ユーザーが自然言語で質問を投げかけるとAIが関連ドキュメントを調査し、意思決定に役立つ情報をレポート形式で返答する仕組みの構築を進める。営業活動やリース資産のライフサイクル管理など、さらなるアセットデータの活用も推進する。
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