ニップコーポレーションは、基幹・業務システムを支えるHCI基盤をソフトクリエイトのWindows HCI パッケージで刷新した。10月27日、ソフトクリエイトが発表した。既存環境の販売終了(EOS)に伴う半年以内での移行が必須となったため、短期間での基盤刷新と運用負担の軽減、セキュリティ強化、事業継続計画(BCP)対策の強化を同時に実現した。今後は、オンプレミスとクラウドを組み合わせたハイブリッド構成を前提に、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進を支える最適な基盤を追求する方針だ。
壁紙や床材をはじめ、100万点を超えるインテリアなどの商材を取り扱うニップコーポレーションは、全国規模の物流ネットワークを展開するメーカー・専門商社である。同社の情報システム部では、リース満了を控える既存のNutanixのHCI環境が、2024年9月の段階で翌年3月にEOSを迎えることが判明した。これにより、約半年という限られた期間で、新たな基盤への完全移行が求められた。
情報システム部門は人的リソースが潤沢ではなく、セキュリティやクライアント対応など多くの業務を抱える中、基盤運用に割ける人員は限られていた。加えて、既存のHCI環境では頻繁なアラート通知への対応や、ベンダーへの問い合わせにおける調査・対応の長期化、追加コストの発生が悩みであり、運用のアウトソースも視野に入っていた。
こうした課題に対し、同社は複数のベンダーに相談し、短期間での移行と運用が一体となった提案を求めた。ソフトクリエイトのWindows HCI パッケージは、構築から運用、監視、アップデートまでが一体化されていたため、要件に合致すると評価。また、必要な機能がパッケージ化されていることで、構築中や運用段階での機能不足を防ぎやすく、オプションで追加できる点も採用の決め手となった。
プロジェクトは、ソフトクリエイトによる既存環境のアセスメントサービスから開始した。重複や利用頻度の低いサーバーを整理し、移行対象を絞り込むことで、効率的な構成とシンプルな運用を可能にする移行計画を立案した。構築フェーズは2024年10月から翌年3月末までの約半年間で完了。ソフトクリエイトのサポートにより、迅速な進捗報告や疑問点への回答が得られ、不安なく進められた。
新環境では、Immutable(変更不可能な)バックアップに加えてAzure Blob Storageへの二重保管を導入。これにより、ランサムウェア被害や災害時への備えを強化し、BCP対策も刷新した。また、AD脅威診断・監視サービス(24/365 SOC連携)も稼働させ、セキュリティ体制を整えた。導入直後に監視で脆弱性が検知され、迅速に対応できたことで、安心感が格段に増した。
運用負担の軽減も大きな成果だ。ソフトクリエイトによるWindows Updateの代行などで情報システム部の運用負担が大きく軽減。アラート対応に追われることが少なくなり、改善や新しい取り組みに時間を割けるようになった。情報システム部 システム課 課長の中村亜樹人氏は、「移行から安定して稼働し、ほぼ手がかからないことも大きな成果だ」と述べている。
今後は、すでに完了しているMicrosoft 365やワークフローシステムのAgileWorks、モバイルPCの利活用、ファイルサーバーのクラウド移行などのDX推進の取り組みに加え、オンプレミスとクラウドを組み合わせたハイブリッド構成を前提に最適な基盤を追求する。