ガスワンホールディングス(ガスワンHD)は、統合人事システム「COMPANY」の利用を開始した。9月11日、COMPANYを提供するWHI Holdingsが発表した。人事関連業務の効率化・自動化やペーパーレス化により年間約8000時間の業務工数削減を見込む。さらに、COMPANYを人材データ活用の統一基盤として、グループ全体のタレントマネジメントを高度化したい意向だ。
サイサンを中核事業会社として総合エネルギー事業を手がけるガスワングループは、DX推進を注力施策に掲げているが、人事領域では従来、業務ごとに異なるシステムを利用しており、システム間の連携機能が不足し、人材データも散在していた。その結果、大量の表計算ソフトを駆使した給与計算やシステム間の情報転記、紙ベースでの人事申請などが常態化し、人事部門と従業員の双方に大きな負荷がかかっていたという。
これらの課題を解決するため、サイサンと地域統括会社を含むグループ6社でCOMPANYの利用を開始した。雇用手続き、人事管理、勤怠管理、給与計算、身上変更ワークフロー、タレントマネジメントの各領域のシステムをCOMPANYで統一し、シームレスに連携させることで、給与計算の自動化や手入力による情報転記の手間とヒューマンエラーを解消したという。特に、通勤手当をはじめとする各種手当の計算や年末調整業務の効率化効果は大きく、人事部門の業務全体で年間約8000時間の工数削減につながったとしている。
従業員の利便性も向上した。月に150件ほど発生するという福利厚生や就業関連の各種申請書を電子化し、スマートフォンからの申請・承認を可能にした。所属や役職に基づいた承認フローも導入し、書類の進捗管理や督促業務、システムへの入力作業を自動化したことで、申請内容を正確に把握・管理できるようになった。
これまで各システムに散在していた人材データがCOMPANYに一元化されたことで、最新かつ多様なデータを活用したタレントマネジメントも可能になった。今後は、経歴や研修履歴、異動希望などに基づいた育成計画の策定や、従業員の等級、業務経験、スキルといった情報を踏まえた最適な人材配置を進める。
ガスワンHDは、「以前はシステム間の情報連携ができておらず、手入力による情報転記やヒューマンエラーのリカバリーに多大な工数がかかる悪循環だった。情報も属人化し、必要な情報がすぐに取り出せないこともあったが、COMPANY導入後は人事、給与、勤怠、ワークフロー、タレントマネジメントの5領域が自動連携するため、業務が劇的に改善した。来年度に人事制度改革が控えているが、要件変更にも柔軟に対応できると期待している」と評価する。
今後は、今回未導入のグループ会社にもCOMPANYを導入し、ガスワングループ全体でのシステム統一を目指す。ホールディングス体制の本格稼働に伴い、グループ間の人材情報管理を強化し、人事情報の横断的な管理を実現したい考えだ。