永井病院は、Helpfeelが提供する自己解決AIシステム「Helpfeel」を導入した。8月29日、Helpfeelが発表した。職員が業務知識や制度情報を即時に検索できる環境を整備したことで、新人職員の心理的な不安を軽減し、業務効率を改善している。
永井病院は三重県津市にあり、199床を抱える二次救急指定病院だ。近年、年間救急搬送件数が過去最多を記録するなど業務量が増加する一方で、人事部門では少人数の体制で全職員の労務管理や問い合わせに対応し、現場では新人教育が負担になるなど、業務効率の改善が喫緊の課題となっていた。
こうした背景から、永井病院は独自の医療DXプロジェクト「NAGAI 100」を始動。その一環として、職員が自ら疑問を解決できる環境を構築するため、HelpfeelのAIヘルプデスクを採用した。
Helpfeelの導入にあたり、永井病院は就業規則や看護手順などを記事化し、現場の職員がスマートフォンで即座に検索・参照できるようにした。当初は利用が伸び悩んだものの、職員アンケートに基づいて「感染症対応」といった需要の高い記事を追加したことで利用が増加。導入直後に全職員へ配布されたスマートフォンとチャットツールを活用し、オリジナルキャラクターを起用した周知活動も行った結果、導入1年後の調査では職員の87%がAIヘルプデスクを認知、75%が「使いやすい」と評価するまでに浸透した。
AIヘルプデスクを導入したことで、職員は場所を選ばずに疑問を即座に解決できるようになった。特に看護現場では、「先輩や同僚に聞きにくい」という新人職員の心理的な不安が軽減され、2024年度の離職率が前年比で2.7%改善した。バックオフィス業務でも、質問対応が減少したことにより、人事部門の年間残業時間が約60時間削減されるなど、業務効率化が進んでいる。また、職員が自信を持って患者に対応できるようになったことで、看護サービスの質の向上にもつながっている。
今後の展望として、永井病院はHelpfeelの活用によって生まれた時間を「患者や家族に寄り添う時間」に充て、医療の本質である人と人とのコミュニケーションに、より多くの時間を注力できる環境を整えていく。
永井病院院長の星野康三氏は、「Helpfeel導入の最大の成果は、職員に『業務はもっと楽にできる』という意識が芽生えたことだ」とコメントしている。「これまで非効率を仕方ないと諦めていた雰囲気が、成功体験を通じて、自ら改善を考える文化へと変わりつつある。この意識変革は、当院の医療DXプロジェクト『NAGAI 100』の推進力にもなっている」と語った。