京都府宇治市の鉄工所であるHILLTOPは、経営管理の高度化と事務作業の自動化を目的に、フリーのクラウド会計ソフト「freee会計」を中心としたデジタル基盤を刷新した。4月30日、フリーが発表した。バックオフィスにおけるデータの再入力を排除し、リアルタイムな経営状況の可視化を実現することで、従業員がより創造的な業務に注力できる環境を整える。
宇宙開発やエンターテインメント産業向けに精密部品加工を行うHILLTOPは、一貫して「人が人らしく働く」ことを追求し、工場の24時間無人稼働システムを構築するなど自動化を推進してきた。しかし、バックオフィス領域ではデータの打ち直しや書類作成といったルーティン作業が残っており、クリエイティブな経営判断の時間を奪っていることが課題となっていた。そこで同社は、テクノロジーによって人間を単純作業から解放し、高度な判断を伴う「攻めの経営管理」へシフトするため、基盤刷新を決断した。
新システムでは、情報基盤の核となるCRM(Salesforce)とfreee会計をAPIでシームレスに連携させた。営業が入力した見積・受注データが再入力を介さず会計システムへ同期され、請求まで完結する仕組みを構築。これにより、ヒューマンエラーの防止と大幅な業務効率化を実現した。また、増加するSaaSアカウントや端末の管理には「freee IT管理」を導入し、人的リソースを最小限に抑えながら強固なセキュリティ体制を維持している。
導入にあたっては、freeeが提供する安全な検証環境(サンドボックス等)を高く評価した。追加料金なしで本番環境に影響を与えずテストやステージングが可能な点が、複雑な連携の開発を、スピード感を持って進める上で大きなメリットになった。
今回の刷新により、現場ではリアルタイムな数値に基づいた多角的な議論が生まれている。従来の納期やコストの確認にとどまらず、製品の改良や品質向上のための改善策を現場主導で検討できるようになった。同社はこれを「情報の民主化」と位置づけ、全社員が必要なデータにアクセスし自律的に判断できる文化を育んでいる。
HILLTOP代表取締役の山本勇輝氏は、デジタル化の本質は人を手作業や注意力から解放し、本来向き合うべき価値ある仕事に時間を使えるようにすることにあるとし、今後も「世界一人間らしい工場」の実現に向けて挑戦を続ける。