コスモは、北海道・帯広を拠点とする計算環境サービス「iHAB」のコンピューティングセンターにおいて、東京エレクトロン デバイス長崎(TED長崎)の「GoriRack環境監視デバイス」を採用した。9月24日、TED長崎が発表した。多点交流電流監視ユニット「RMS-CU80」および小型センサマネジメントユニット「RMS-3200」を統合監視ソフトウェア「Zabbix」と連携させ、電力と温度の一元管理を実現。2026年7月から本番運用を開始し、監視業務の効率化と設備の安定運用につなげている。
コスモはフード・ライフサイエンス事業とITソリューション事業を展開し、ITソリューション事業では製造業の設計・R&D部門に向けたCAE解析やハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)の環境を提供している。その中核を担うサービスがiHABだ。同社は北海道・帯広にあった食品工場の遊休施設をコンピューティングセンターへと転用し、設備を必要な機能に絞り込むことで過剰投資を抑制。設計者や開発者がインフラや運用の負担を意識せず解析作業に集中できるよう、利用しやすい料金体系で計算基盤を提供している。
同センターでは、顧客に提供する容量の範囲内で電力が使用されているかを常時監視し、各ラックに設置したサーバ吸い込み口の温度を測定して冷却の指標としてきた。しかし従来は電力測定を既存PDU(電源タップ)の付加機能に頼っていたため、温度上昇などのアラートを検知するたびにPDUへ個別にログインして電力使用状況を確認しなければならず、運用負荷が課題となっていた。さらに利用企業側からPDUを自社管理したいという要望もあり、外部からの参照に対応できる新たな統合管理基盤の整備が急務となっていた。
複数のソリューションを比較検討した結果、コスモは柔軟性や収容性、拡張性の高さに加え、Zabbixとの連携実績が豊富なTED長崎のGoriRack環境監視デバイスを選定した。RMS-CU80は既存の電源回路に電流センサを取り付けて監視でき、1台で最大80回路を収容可能なほか、LANケーブルの接続で容易に増設できるため将来の拡張コストを抑えられる。またRMS-3200は多数の温度センサを省スペースで集約できる点を評価した。TED長崎が提供するZabbixテンプレートを活用し、要件に合わせた再設計や評価機検証を経て導入に至った。
同システムの導入により、サーバルーム全体からラック、PDU単位までの電力および温度をZabbixの管理画面で一元的に把握できる体制が整った。サーバルーム全体では空調能力に対する注意・警告の閾値を設けて監視し、ラック単位では複数PDUの使用電力を合算し、顧客への提供上限に対する適正利用を管理している。これにより、従来のようにアラートのたびに個別PDUのデータを確認する手間が解消され、監視担当者の作業負担が大幅に軽減された。
また、電力量と熱負荷の推移を詳細に把握できるようになったことで必要な冷却能力の適正化が進み、導入後は機器トラブルなく安定稼働を維持しており、運用面での安心感にもつながっている。今後はZabbixと連携したグラフィカルな電力・温度データを顧客向けの付加価値として提供するなど、サービス化を含めた展開も視野に入れている。