クレディ・ミュチュエル・アリアンス・フェデラルは、IBMのAIおよびデータ・プラットフォーム「IBM watsonx」を採用し、生成AIの展開を加速する。2024年6月27日(現地時間)、IBMが発表した。クレディ・ミュチュエル・アリアンス・フェデラルは、2016年からAI導入を積極的に進め、2万5000人のアドバイザーが毎日AIを利用することで、2023年には約10万時間の事務作業からアドバイザーを解放し、顧客サービスの質向上に集中できる環境を実現した。
同行は、フランスと欧州にある自社データセンターでIT処理のほぼすべてを実行する「ソブリン・テクノロジー・バンク」として事業を推進している。今回のIBMとの協業拡大も、この戦略に基づくものだ。同行の技術関連子会社であるEuro-Information社とIBMは、長期的な協力関係を築いてきた。クレディ・ミュチュエル・アリアンス・フェデラルとEuro-Information社は、IBM watsonxを通じて、生成AIの展開を加速し、産業化を目指す。watsonxは、企業が責任あるAIを開発できるように設計されたプラットフォームだ。
同行は、IBM watsonxと自社開発の組み合わせにより、クレディ・ミュチュエルとCIC社のネットワークに対し、35件のAIユースケースを段階的に導入する予定だ。最初のユースケースは2024年夏にも利用可能になる。また、IBMとRedHatが共同開発したInstructLab技術も検証する。これは、独自のデータを使用して活動分野に特化したモデルを設計できるようにする。
クレディ・ミュチュエル・アリアンス・フェデラルの最高経営責任者であるEric Petitgand氏は、「過去8年間、IBMとのAI領域での協業の成功は、当社のコミットメントやイノベーションにおける戦略の妥当性を実証してきた。コグニティブ・ファクトリーに集まったEuro-Information社とIBMのチームは、銀行アドバイザーが常に顧客や会員に可能な限り最高のサービスを提供できるようにするために、watsonxを使用して35件の新しいユースケースの産業化に取り組んでいる」とコメントしている。
Euro-Information社の社長であるFrantz Ruble氏は、「銀行業はテクノロジー・ビジネスであり、未来のテクノロジーを使いこなすためには、常に革新を続けることが不可欠だ。InstructLabの技術によって、当社の倫理的かつ信頼できる先駆的なコミットメントに生成AIを適応させることで、当社の特定のニーズを満たすことができる。つまり、IBMと協力していくことは、より戦略的なものなのだ」とコメントしている。
Euro-Information社は、自社での開発とwatsonxを活用し、35件のAIユースケースを産業規模で開発する。2024年第3四半期には3つの初期生成AIソリューションが導入される予定で、これによりアドバイザーは顧客や会員のニーズに対しより効率的に対応できるようになる。AIベースのサービス(文書合成、アポイントのテープ起こしなど)の幅広いカタログである「MonIA」に加え、顧客からの電子メールに返信するためのテンプレートや、担当業務を支援するためにパーソナライズされた回答を提供するAIアシスタントを利用できるようになる。第4のパイロット試験は、グループのIT部門の従業員の業務をサポートする予定だ。
クレディ・ミュチュエル・アリアンス・フェデラルは、信頼できるAIのための憲章を採択した。この憲章は、AIの使用を統制するコミットメントを定めたもので、IBMのwatsonx.governanceは、Euro-Information社はこれらの実装を支援する。同行は、ソブリン・テクノロジー・バンクとして運営されているため、このような選択が可能だ。同行は、AIの利用について、選出された代表者、従業員、組合員、顧客といった人間のためにAIを配置し、デジタル・プライバシーの厳格な尊重を保証する。透明性が高く文書化されたAI利用を推進することでの、厳格なテクノロジーの力で課題を解決していくことを支持するとともに、銀行と保険業務を共有し、管理するという原則を永続させ、会員と顧客の利益の保証をするものだとしている。