スーパー運営のマルイ、日本IBMのAI需要予測で業務効率化

2024年9月18日09:00|ニュースCaseHUB.News編集部
x
hatebu

 中国地方でスーパーマーケットを運営するマルイは、店舗の発注業務軽減や利益率向上のため、日本IBMが提供する流通業向けデジタルサービス・プラットフォーム(DSP)の「AI需要予測」を導入した。9月17日、日本IBMが発表した。同社は2023年11月から2024年2月まで実施した実証実験で、AI需要予測の有効性を確認し、同年9月から全店舗への導入を決定した。

 マルイは、人材不足やコスト削減圧力、競争激化といった小売業界の潮流の中、「マルイ流DX」を掲げ、業務効率化と顧客への付加価値提供を目指していた。しかし、賞味期限の短い商品や、需要変動の大きい商品、従来の在庫型、統計需要予測方式の自動発注では対応が難しく、改善が求められていた。

 そこでマルイは、日本IBMのAI需要予測を活用し、天候や催事など、店舗売上影響要因であるコーザルデータや顧客の販売データの傾向分析を導入した。このシステムは、全ての商品を一律に扱うのではなく、商品ごとに最適な予測モデルを自動で適用し、きめ細かな需要予測を可能にしている。

 実証実験は、和日配(豆腐、納豆など)、洋日配(牛乳、デザートなど)のカテゴリーを対象に、ノースランド店、総社店、湯郷店、両三柳店、安倍店の5店舗で実施した。店舗情報、販売実績、商品情報、販促情報、コロナ情報、気象情報、カレンダー情報などのデータを用いた結果、販売数予測精度(和日配)は96.3%、発注時間については各カテゴリーで50%削減を実現した。また、売上前年比は102%、月額ロス率前年比は97.5%と、売上向上と廃棄ロスの削減にも貢献した。

 従業員からは、担当者の公休前の発注忘れの防止や休暇中の心労削減、定型業務量削減によるモチベーションアップといった効果も報告されている。発注業務の削減によって生まれた時間を売場のメンテナンスや接客、販売促進など、より付加価値の高いサービス提供に充てることで、店舗の活性化にもつながっている。

 マルイと日本IBMは今後、部位が多く予測の難しい精肉や惣菜、インストアベーカリーへのAI需要予測の展開と製造計画への利用を検討している。さらには、時間帯別の客数予測を活用した人員計画最適化を図り、スーパーマーケットの店舗管理におけるデジタル・トランスフォーメーションを推進していく。


ニュースリリース