福島県は、「福島県総合防災情報システム」を3月27日に運用開始し、安定稼働している。2024年5月30日、日本IBMが発表した。
福島県では、2019年東日本台風で広範囲な浸水が発生し、多くの犠牲者が出た。この災害では、住民は身の周りの危険を感じ避難を開始するケースが多く、文字情報だけでなく、雨量や河川の水位などの切迫感のある情報発信の必要性が提言されていた。しかし、観測や予測技術の発達により災害情報は多岐にわたり、危機管理担当職員だけでは情報発信が困難になっていた。
新システムは、県民向けポータルサイト「福島県防災ポータル」を構築。地図等を活用した住民の避難行動に資する情報を発信する。気象情報、雨量及び河川の水位情報等を迅速かつ一元的に取得し、自動で避難情報の発令候補地域を電子地図上に表示することで、住民への迅速な避難情報の発令を支援する。避難情報や避難所の開設、運営情報に加え、災害情報等の時系列管理や電子地図上での情報集約機能を市町村も活用できるようにし、市町村による主体的な利用を促進する。
新システムでは、災害現場等でドローンが撮影している動画をリアルタイムに表示することも可能。複数拠点から同時に映像情報を確認できるため、災害対策本部等が迅速に状況を把握できるようになった。さらに、気象情報、避難指示等の発令状況、避難所開設状況、被害情報、関係機関の対応状況等の情報を県庁内の大画面ディスプレイにリアルタイムに表示。収集された情報を集約し、災害時の庁内における会議資料の作成及びポータルサイトへの掲載を自動化する。これにより、職員が手書きで資料を作成していたこれまでの災害対応から脱却し、福島県の防災DXを推進する。
新システムは、IBMのパッケージ・ソリューション「IBM災害対応情報システム」を基盤に、デジタル・インフォメーション・テクノロジーのxoBlos(ゾブロス)、ラクスライトクラウドのblastengine(ブラストエンジン)を採用し、災害対応の現場が抱える課題の解決を図っている。
ニュースリリースURL
https://jp.newsroom.ibm.com/2024-05-30-Fukushima-Pref-goes-live-disaster-management-system