ジャパンラグビーマーケティング(JRM)が、「SAP CIAM」を導入し、顧客ID統合基盤を構築した。2025年1月31日、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションが発表した。
JRMは2022年の設立以来、ラグビーファンを増やすためのマーケティング活動に取り組んできたが、顧客ID基盤が未整備であることが課題だった。複数のWebサイトで個別の会員登録が必要なため、ユーザーの利用状況が把握できず、マーケティング施策が効果的に行えない状況だった。そこで、顧客IDの一元管理とデータ活用を目指し、SAP CIAMの導入を決めた。
選定の決め手は、NTTコム オンラインが大規模システム開発に関する豊富な知識と実績を持っていた点だ。また、システム担当者が少ないJRMにとって、「運用負荷の少ないシステム」と「パートナーとして伴走してくれる能動的なベンダー」であることが重要な要素だった。豊富なテンプレートや高い拡張性も開発工数削減に貢献すると判断された。
導入にあたり、日本代表ファンクラブ、一般社団法人ジャパンラグビーリーグワン(JRLO)と公益財団法人日本ラグビーフットボール協会(JRFU)のECサイトの3つのサービスを統合し、その後、アプリ、チケット販売サイト、プロリーグのファンサイト、映像配信サイトを追加、計7つのサービスが単一のアカウントで利用できるようになった。開発期間は約10ヶ月で、サービスの追加連携はスムーズに進み約2ヶ月で完了した。
SAP CIAM導入の結果、登録ユーザー数は15万人から25万人に増加し、アクティブ率は2割から8割に大幅に向上した。顧客の年齢層や居住地域などのデータが可視化され、ターゲットを明確にしたマーケティング活動が可能になった。JRMシステムグループの塩谷篤史氏は、「統合IDの登録ユーザーは、現在、約23万人で、うち8割がアクティブユーザーであることがわかっている」と述べている。
導入後の運用について、塩谷氏は「SaaS型のサービスなので、こちらでサーバーを用意したりメンテナンスをしたりする手間がかかりませんし、常に最新のバージョンで利用することができています」と語る。
JRMは今後、SAP CIAMで得られたデータを基に、メールマーケティング、ポスティングなどの施策を強化していく。また、NTTコム オンラインからは、データ分析ツールや顔認証システムの提案を受けており、さらなるデータ活用と顧客体験の向上を目指す。