コンテンツデータマーケティング(CDM)は、同社が提供するID管理システム「Uniikey」の刷新にあたり、OAuth/OIDC実装サービス「Authlete」を採用した。Authleteが発表した。従来の外部ベンダー基盤から内製化へと切り替える際、認証・認可処理のエンジンとして導入した。これにより、システム運用のコストを削減しつつ、顧客ニーズに合わせた柔軟なカスタマイズが可能になった。
CDMは、講談社、TOPPAN、CARTA COMMUNICATIONSの合弁会社として2020年に設立された。同社が開発・提供するUniikeyは、SaaS型の統合ID管理システムだ。複数のサービスを展開する事業者向けに、会員情報の一元管理やシングルサインオン(SSO)機能などを提供している。ネット通販やアプリ、メディアなどを運営する企業で導入されており、数百万人規模のユーザー利用を支えている。
2020年の初期リリース以来、Uniikeyは外部ベンダーの顧客データ管理基盤を利用して運用していた。しかし、事業拡大に伴い、ランニングコストの増大や性能面での制約が課題となっていた。特にカスタマイズ性の面では、導入企業が会員属性を追加するたびにコードの修正が必要になるなど、顧客ごとのニーズに柔軟に対応するための開発自由度が不足していた。
そこでCDMは、コストの適正化と拡張性の確保、プラットフォームの柔軟性向上を目的に、Uniikeyのシステム基盤を内製化によって再構築することを決定した。アプリケーション本体は自社で設計・開発する一方、複雑な認証・認可機能の実装については外部ツールの導入を検討。KeycloakやAmazon Cognitoと比較検討した結果、管理運用の負担が少なく、処理数の制限といった課題も解消できるSaaS型のAuthleteの採用を決めた。
Authleteを組み込んで刷新された新しいUniikeyは、2024年12月から稼働を開始している。東京メトロポリタンテレビジョンの会員サービス基盤や、講談社グループの「講談社ID」などで採用が進んでいる。導入の効果として、最新のOAuth/OIDC標準仕様への準拠による信頼性向上に加え、構築・運用工数の削減を実現した。また、Authleteはログイン画面などを持たない「ヘッドレス」な構造であるため、顧客企業のブランドに合わせた画面デザインが可能になり、データ設計の自由度も高まっている。
コンテンツデータマーケティング ソリューション本部副本部長の鹿島嘉了氏は、「以前の基盤では外部ベンダーの機能範囲内でしかカスタマイズできず、顧客の要望に応えるのが難しかった。Authleteの導入により、OAuth/OIDC仕様の実装を任せられる安心感に加え、メンテナンスコストの低減も実現できている。今後も安定的かつ継続的にサービスを提供していきたい」と話している。