キッツは、外部パートナー向けWebサービスのID管理基盤に「Tactna」を採用した。8月18日、同製品を提供するTC3が発表した。非アクティブなアカウントの放置によるセキュリティリスクを解消し、安全なサプライチェーン環境を構築する。ユーザーへの権限委譲によってID管理の工数を大幅に削減したほか、新規アプリ開発のコスト削減も見込んでいる。
バルブ製造などを手がけるキッツは、中期的な事業戦略として、サプライヤーや代理店など外部パートナーへの情報発信やWebサービスの提供を推進している。第一弾として「検査成績書発行システム」の提供を開始しており、今後も随時サービスを拡充していく計画だが、ID管理に関する懸念があったという。サービスごとにIDを発行・管理する方式では、ID管理が複雑化し、ユーザー体験にもネガティブな影響が出る。また、ユーザーは社外人材であるため、キッツ側で異動や退職を正確に把握できず、利用実態のない「ゾンビID」が放置されるリスクが高まる。
各種Webサービスをユーザーに安心して使ってもらうための高いハードルになり得るこれらの課題の解決策としてTactnaを採用し、複数のサービスで横断的に活用できる統合ID管理基盤を整備した。外部組織のアカウント管理を確実に行うため、ユーザー企業の管理者にIDの追加や削除の権限を委譲する仕組みを構築。さらに、最終ログインから一定期間が経過した非アクティブなアカウントを自動で検知し、利用停止から完全削除までを行うライフサイクル管理の仕組みを取り入れた。
Tactnaの活用により、外部IDの約30%がゾンビIDであることが可視化された。適切に利用停止や削除措置を行い、社外パートナーの安全な利用環境を実現したという。また、ユーザーへの権限委譲や管理ポータルの活用により、これまで手作業で行っていたIDの棚卸し業務などが自動化され、担当者の工数を約70%削減した。さらに、TactnaをID管理の共通基盤として仕様を標準化したことで、新規アプリケーションを追加する際の追加開発コストも約60%削減できる見込みだとしている。
今後は、構築した統合ID管理基盤を全社的な外部向けプラットフォームへと適用範囲を広げ、将来的には10万人規模での利用を視野に入れている。複数のアプリケーションへの対応やタレントマネジメントシステムとの連携も予定しており、契約の開始や終了に応じたアカウントの自動登録と削除など管理体制の高度化を目指す方針だ。
キッツITインフラサービス部ITデジタルプラットフォームグループ長の守屋仁氏は、「定期的なID棚卸しとライフサイクル管理が自動化されたことで、利用実態のない外部IDを継続的に検知・整理できるようになり、セキュリティガバナンスの強化と監査対応の効率化にも貢献している」とコメント。また、同グループの山田一樹氏は、「Tactnaは、認証やID管理の各プロセスに、企業ごとの業務ルールや既存システムとの連携処理を柔軟に組み込めるため、自社側のアプリケーション基盤の仕様に合わせた連携を実現できた」と語っている。