東京スタートアップ法律事務所は、Notion Labsのコラボレーションソフトウェア「Notion」とAIアシスタント「Notion AI」を採用した。8月18日、Notion Labs日本法人のNotion Labs Japanが発表した。Notionに全国29拠点に分散した情報やナレッジを集約した上で、Notion AIの活用により月間数千件に上る問い合わせの一次整理や要約などを自動化。対応履歴などの登録業務にかかる時間を大幅に短縮したという。弁護士が専門的な業務に集中できる環境を整え、顧客への提供価値向上につなげる考えだ。
同事務所は全国に拠点を展開し、各拠点は1人から3人の少人数で運営している。従来は判断や対応が個別最適になりやすく、類似案件への重複対応や最新方針の反映の遅れといった課題を抱えていた。また、マニュアルなどの検索性が低く、ノウハウが属人的になることで教育や引き継ぎのコストも増加していた。AIの活用も判例リサーチなど限られた領域にとどまっており、組織全体の業務プロセスに組み込む仕組みが求められていた。
こうした課題の解決策として、2026年5月にNotionを全拠点で導入した。ページやデータベース単位でアクセス権限を設定でき、更新履歴を残せるなど、同事務所の情報ガバナンス要件を満たしながら、ドキュメントやデータベース、プロジェクト管理などを一つの基盤に統合できる点を評価した。また、ITスキルを問わず容易に操作できる使いやすさも採用の決め手になったとしている。
実際の業務では、Notionと各業務ツールをMCPで連携させている。Notionを統一基盤として電話対応後の記録作成や履歴の管理を自動化することで、登録業務にかかる時間を大きく削減した。また、AIを活用して会議の議事録を作成・整理し、会話履歴の検索性を高めたことで、案件の状況確認が円滑に進むようになった。さらに、全拠点の案件やタスク、組織の情報をデータベースで一元管理している。横断検索や要約を通じて過去の対応履歴や関連資料を参照しやすくしたことで、文書レビューや関係者間のすり合わせも高速化しているという。
同事務所はNotion AIを、専門的な判断を担う弁護士の支援基盤として位置づけており、10月から全弁護士とスタッフに利用対象を拡大する予定。中長期的には、契約書レビューの下読みやリスク箇所の抽出支援、利益相反チェックの一次スクリーニングなど、法律事務所特有の業務でもAIの活用を強化していく方針だ。蓄積したナレッジを新人弁護士の育成や社内評価制度といった組織運営にも広げ、AIを最大限に活用する組織を目指す。
東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士である中川浩秀氏は、「知見を蓄積し、迅速かつ高品質なリーガルサービスを安定的に提供できる仕組みづくりが不可欠だ。ツールを活用してメンバーがより本質的な業務に集中できる環境を整え、その恩恵をクライアントに還元することで体験価値を最大化させる」と話している。