芦之湖漁業協同組合と東日本電信電話(NTT東日本)神奈川事業部、フルノシステムズ、インターネットイニシアティブ(IIJ)は5月16日、芦ノ湖の監視・管理の効率化と強化を目的に、IEEE規格「802.11ah(Wi-Fi HaLow)」を活用したデジタル監視システムと水温センシングシステムの実証実験を開始したと発表した。実証期間は2024年4月19日から5月31日まで。
芦之湖漁業協同組合では、漁場資源の保護やトラブル防止のため漁業規則を定めているが、届け出のない不法操業者の早期発見に向けた巡回監視が課題となっていた。また、ホームページで水温情報を公開しているが、計測の業務負荷も高まっていた。
今回の実証では、長距離通信に対応した新たなWi-Fi規格であるWi-Fi HaLowを活用。1km以上離れた対岸との映像伝送や人物検知機能の検証を行う。合わせて、Wi-Fi HaLowとLPWA(省電力長距離通信)「LoRaWAN」を使った水温センサーネットワークも構築。今後、監視業務の効率化や水温情報の自動更新などが期待できるという。
システムの構築と運用は主にNTT東日本、フルノシステムズ、IIJの3社が分担。NTT東日本が全体を統括し、フルノシステムズが802.11ahの関連機器とサービス、IIJがLoRaWANの関連機器とサービスを提供する。
芦之湖漁業協同組合組合長の福井達也氏は「各ポイントのリアルタイムな映像と水温等の情報提供だけでなく、事故や災害における映像の記録まで、活躍の場は多岐に渡り、今後予測される慢性的な人材不足という課題に対しても活用できる」と期待を寄せる。同組合参事の高梨五十六も「事務所にいながら湖上の様子を確認できるようになるほか、万が一、トラブルがあった際にも録画画像を確認できて便利になる」とコメントしている。
同組合では、今回の実証結果を踏まえ、禁漁区の監視強化や、リアルタイムな水温情報の漁業者への提供などに活用していく方針だ。将来的には、水中カメラの導入なども視野に入れているという。
ニュースリリース
https://www.iij.ad.jp/news/pressrelease/2024/0516.html