テクニスカ・ヴェルケン、基幹システム刷新にIFS Cloud採用 AIで投資判断最適化

2025年12月15日22:51|ニュースCaseHUB.News編集部
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 スウェーデンの公益事業グループであるテクニスカ・ヴェルケン(Tekniska verken)は、業務プロセスの統合と、化石燃料中心の産業・社会構造から再生可能エネルギー中心の持続可能な構造への移行を目指すグリーントランジションの加速を目的に、産業用AIを搭載したクラウドプラットフォーム「IFS Cloud」を採用した。12月15日、産業用AIソフトウェアを提供するIFSジャパンが発表した。従来の複数のシステムを単一の基盤に刷新することで、発電から顧客対応に至るバリューチェーン全体をリアルタイムで可視化し、業務効率の向上と戦略的な投資判断につなげる狙いだ。

 テクニスカ・ヴェルケンは、スウェーデンの自治体が所有するエネルギーおよびインフラ企業。熱供給、電力、水、廃棄物管理、光ファイバー、バイオガスなど、市民生活や企業活動に不可欠なサービスを幅広く提供している。同社は現在、組織全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しており、業務機能の統合とサービス提供能力のさらなる強化が課題となっていた。

 従来、同社の業務システムは世代の異なる複数のレガシーシステムで構成されており、効率的な連携が妨げられていた。そこで、持続可能で革新的な社会インフラサービスを提供するというミッションを支えるため、基幹業務システムの刷新を決断。長年のパートナーであり、産業用AI分野で強みを持つIFSのソリューションを全社的な統合基盤として採用した。

 IFS Cloudは、ERP(統合基幹業務システム)、EAM(企業資産管理)、FSM(フィールドサービス管理)、AIP(資産投資計画)などの機能を単一のプラットフォーム上で統合的に提供する。今回の導入により、テクニスカ・ヴェルケンはこれらの機能を一元化し、発電、配電、水処理といったインフラ運用から、フィールドサービス、顧客対応までをシームレスに接続する。これにより、保守業務の最適化やプロジェクト計画の精度向上が図られ、フィールドリソースの配分も効率化される。

 あわせて、AIを活用した投資意思決定ソリューション「IFS Copperleaf」も導入する。これにより、廃棄物発電やバイオ燃料、太陽光、風力、水力といった発電およびネットワーク領域における投資ポートフォリオ全体を対象に、AIが投資の優先順位付けと最適化を支援する仕組みを構築する。膨大なデータに基づき、すべてのプロジェクトが長期的なレジリエンスや持続可能性といった事業目標に沿って推進されるよう、意思決定プロセスを高度化する考えだ。

 テクニスカ・ヴェルケンCEOのコニー・ウッド氏は、「エネルギー業界は急速に進化しており、将来に向けて適切なツールを備えることが不可欠だ。新たな基幹業務システムは、計画、実行、フォローアップのための共通基盤を提供し、組織全体の連携を強化する。サービスをさらに強化し、業界で最も競争力のある製品とサービスを提供するという長期ビジョンを実現するための重要な一歩となる」と話している。

 テクニスカ・ヴェルケンは今後、財務や人事などの管理業務と、現場のアセット管理やフィールドサービスを統合することで、効率性と信頼性をさらに高め、環境責任を果たしながら顧客エンゲージメントの強化に取り組む方針だ。

ニュースリリース