エクシオグループは、ERPの刷新に合わせてERPのフロントシステムを刷新し、NTTデータイントラマートのローコードプラットフォーム「intra-mart」を採用した。従来システムと比べてユーザビリティの大幅な向上と業務の効率化を実現したという。NTTデータイントラマートが3月18日に明らかにした。
エクシオグループの主要事業は三つのセグメントに分かれる。モバイル通信設備や光ファイバ網などを構築する「通信キャリア事業」、鉄道や高速道路、データセンターの電気系設備を整備する「都市インフラ事業」、そしてITインフラからアプリケーション開発、保守運用までを手がける「システムソリューション事業」だ。ビジネスの規模としては祖業である通信キャリア事業が大きいが、安定的な成長を目指すべく、2030年に3セグメントの売上高を同程度にするという目標を掲げている。
こうした成長目標に向けた基盤づくりとして、同社では基幹システムの老朽化が大きな課題となっていた。2007年から運用している従来の基幹システムは、SAPのERPとintra-martを開発基盤とするフロントシステム、人事管理やワークフローのパッケージソフトなどで構成されていたが、アーキテクチャが古くなり、最新のSaaSとの連携がしづらく、ビジネス環境の変化に対応しづらくなっていた。また、OSやミドルウェアのサポート終了を迎え、ハードウェアも老朽化していたという。
こうした状況を踏まえ、同社は基幹システムについて、アーキテクチャを含めた抜本的な刷新を決断。「Fit to Standard」を基本方針としてできる限り業務の標準化を進め、ERPでカバーできる領域はERPの刷新で対応、ERPフロントについても人事給与や勤怠管理、経費精算など全社共通の領域はSaaSやパッケージソフトを活用することにした。一方で、こうした既存のパッケージ製品で対応が難しい事業領域の業務については、ローコード開発プラットフォームを使った独自開発で対応し、このプラットフォームを中心に各システムや機能モジュールが柔軟に連携できる仕組みづくりを目指した。
プロジェクト全体の進め方としては、SAPのサポート終了期限を考慮し、ERPはハードウェアの更改でひとまずの延命を図り、OSとハードウェアの保守切れなどで運用の継続が限界に近づいていたERPフロントを優先的に刷新することにした。intra-martは従来システムのERPフロントにも採用されていたが、アーキテクチャの刷新を伴うシステム更改ということもあり、ERPフロントの核となるローコード開発プラットフォームはゼロベースで選定を進めた。
同社は外部ベンダーへの依存度を下げ、システムのブラックボックス化を避けるために内製の拡大に注力しており、intra-martの採用にあたっては、内製に適した開発効率や保守性の高さを評価。同業界での活用実績や、提供ベンダーの経営の安定性といった同社の選定基準も満たしていたという。さらに、ワークフロー機能の充実や、長年の利用実績に基づく製品とベンダーへの信頼感なども採用を後押ししたとしている。
また、同社グループは140以上のグループ会社で構成され、新たな基幹システムと周辺システムは、将来的に1万人以上が使うことを想定している。intra-martはアプリケーションサーバーのCPU単位で課金されるため、ユーザー数に比例してコストが加算される製品・サービスに比べてコスト面での優位性も大きかったという。
intra-martの導入は、まず社内稟議の汎用ワークフローから構築を開始。その後、原価管理、契約管理の順に内製開発を進めた。現在、グループ全体で約4000ユーザーがこれらのシステムを利用している。
エクシオグループはこのプロジェクトを通じて内製のノウハウを蓄積するとともに、8割以上の内製化率を実現し、開発期間の短縮とコスト削減につなげたとしている。また、システム開発の過程で業務の標準化を進めた結果、入力作業の削減やユーザビリティの大幅な向上を実現したという。
今後はコアERPの刷新に本腰を入れるとともに、intra-martをハブとして「グループ全体のシステムとデータを一気通貫で連携する仕組みを検討し、コンポーザブルな基幹系+周辺システムの完成を目指す」としている。